かつて夢見た暮らしをかなえた仕事人たちの家は、浪漫に溢れている。その家づくりのスケール感はもはや、大人の壮大な遊びなのだ。今回紹介するのは、南麻布に建つ、芸術家・S氏の邸宅。【特集 浪漫のある家】 自身の作品と対峙するための完璧な美空間 南麻布の閑静な住宅地に白亜の邸宅が建つ。間口は決して広くはない。だが一歩中へ入ると、美術館と見紛うほどの圧倒的な空間の広がりに驚かされる。 設計を手がけたのは2014年に“建築分野のノーベル賞”といわれるプリツカー賞を受賞するなど、国際的に活躍する建築家の坂 茂氏。 現在のオーナーで、邸宅に暮らす美術家S氏は’19年に邸宅を購入。徹底的に、こだわりのリノベーションを行った。 「建物には前のオーナーが手を加えた箇所がたくさんありました。家族構成に合わせて、暮らしやすいように増改築するのは決して悪いことではありません。ただ、私が受け継ぐことになって、まずは坂氏