「忍者のすべてが、ここにある」と帯でうたう大著「忍者学大全」が出版された。忍者研究の第一人者である三重大学の山田雄司教授が、三重県伊賀市で続く「忍者・忍術学講座」に登壇した講師の講義内容などをもとに、幅広い研究や論考を編者としてまとめた。忍者・忍術だけの論集の出版は初めてという。 講座は、伊賀市にある三重大学のサテライトオフィス「伊賀連携フィールド」が2012年から月1回のペースで続け、忍者に関心を持つ研究者や作家らが登壇。今回は12~19年に講師を務めた人たちのうち、歴史学や医学、化学など多様なジャンルの40人に寄稿してもらったという。 掲載論集では、忍術書を読み解き、忍者の武具や火術、情報伝達の方法などを科学的に位置づける内容だけでなく、戦国時代以降の江戸や津藩などでの「しのび」の具体的な活動や生活まで紹介されている。江戸時代に津藩で起きた一揆では、「伊賀者」が隠密行動で一揆のリーダー