パリのソムリエも絶賛する日本酒「獺祭(だっさい)」。高品質の大吟醸酒として国内外で人気が高まっている。まさに匠の技の極致だが、その酒蔵に杜氏の姿は無い──。匠頼りの製造現場の旧弊を改め、IT(情報技術)で匠の技術を極めれば可能性は無限だ。ITでグローバル競争に挑む先進企業の取り組みを2回に分けて紹介する。山口県岩国市の山間、半径5km以内に住む人はわずか250人。そんな過疎の集落に似つかわしく
人気が盛り上がっている山口の銘酒「獺祭(だっさい)」が、原料の酒米不足に悩んでいる。ふつうのコメと比べて育てるのが難しく、生産量が追いつかないからだ。そこで蔵元の旭酒造(山口県岩国市)は、ITを使って農家を支援し、生産を増やそうとしている。 獺祭は1990年に売り出した純米大吟醸酒だ。原料には酒米の最高峰といわれる「山田錦」を使い、雑味をのぞくために5割以上も削る。全国の日本酒ファンの支持を受けて売上高はこの10年で6倍に伸びた。来年5月には新工場を立ち上げて生産能力を3倍に増やし、年9千キロリットルつくれるようにするという。 ところが、難題が待ち受けていた。原料の山田錦をつくる農家が少ないため、全国でかき集めても1万5千キロリットル分にしかならないのだ。山田錦は背丈が高いため風で倒れやすく、稲の病気である「いもち病」にも弱い。わざわざ生産に乗り出す農家はほとんどなかった。 そこで旭酒造は
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