2019年秋に北京を訪れ、歓迎式典で中国の李克強首相と並んで閲兵するソガバレ首相 THOMAS PETERーREUTERS <南シナ海よりもっと南へ──。ソロモン諸島の内紛に乗じた中国の安保協定が、インド太平洋地域すべての国の安全保障態勢を揺さぶる> 南太平洋の国ソロモン諸島と中国が安全保障協定を結ぼうとしている──。そんな驚きのニュースが飛び込んできたのは3月24日のこと。たちまちマナセ・ソガバレ首相に再考を求める声が国内外から噴出した。 だがソガバレは聞く耳を持たず、31日には中国政府が、ソロモン諸島と安全保障協定を結ぶことで基本合意に達したと発表した(編集部注:4月19日に正式締結)。 なぜ、この協定がそれほど大きな波紋を呼んでいるのか。 その背景には、ソロモン諸島の緊張をはらんだ国内情勢と、中国と台湾(とアメリカやオーストラリアなどの同盟国)の関係悪化という地政学的な要素が複雑に絡