多くの主流経済学者の間で「国債を発行すると民間貯蓄が減り金利は上昇する」という考え方が信じられています。しかし、現実には、日本ではその逆に、国債を発行し続けても民間貯蓄は増え金利が下がり続ける現象が起きています。一体どういうことなのでしょうか?評論家の中野剛志氏が新刊著書『どうする財源——貨幣論で読み解く税と財政の仕組み』(祥伝社新書)より、 「国債の発行」で民間貯蓄は増える 多くの主流派経済学者は、国債を発行すると金利が上昇すると主張します。 なぜでしょうか。 後ほど、改めて論じますが、多くの主流派経済学者たちは、国債を購入する際の原資が「民間貯蓄」であり、国債を購入した分だけ民間貯蓄が減り、その分だけ、民間の設備投資に回せなくなると考えているのです。 しかし、日本は、これまで長年にわたり国債を発行し続け、政府債務を積み上げてきましたが、金利は下がり続け、ずっと超低金利状態が続いています