東京電力が東北関東大震災による電力供給力不足を受けて14日から実施している計画停電について、一部で不満の声が上がっている。実施の有無が直前まではっきりしないことや、市区町村をまたいで複雑に分かれたグループ分けなどへの疑問が不満につながっているようだ。しかし、これらの疑問点を考えることで、今回の計画停電で行われているのは、単なる不足分のカットだけではなく、系統全体の健全性維持だということが見えてくる。 (古澤 孝保) ● 同時同量の原則 電力は貯蔵しておくことができない。このため、安定した電力を供給するためには、変動する需要に対し、瞬間的に供給を一致させなければならない。これは「同時同量」と呼ばれる系統運用の大原則だ。 この同時同量を守るために、電力会社の系統運用部門では、その日の気象条件や前日の需要、過去の実績データなどから需要の伸びを予測し、系統全体で電圧や周波数が一定範囲に収まるよう常