このブログの主目的は、(1)英語教育について根本的に考え直すこと、(2)英語教育現場の豊かな知恵をできるだけ言語化すること、(3)英語教育に関する良質のコミュニケーションを促進すること、です。このブログでの見解などは柳瀬個人のものであり、柳瀬が所属する組織や団体などのものではありません。 1 序論 1.1 背景 学校教育の「英語」に関する議論の特徴の一つは、それが世間の耳目を引く大きく単純な言い方で語られることである。小学校英語教育も、狙いや詳細が不明瞭なまま導入という基本路線だけが決定された(大津 2004, 2005, 2006, 2009)。2008年12月に公示された高等学校新指導要領でも「授業は英語で行なうことを基本とする」という文言はマスコミの注目するところとなり、多くの全国紙がこれを第一面で報道した。しかしこの指示が、高校英語教育の様々な状況を軽視した短兵急なものであることは