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ブックマーク / blog.tatsuru.com (10)

  • エクリチュールについて - 内田樹の研究室

    クリエイティブ・ライティングは考えてみると、私が大学の講壇で語る最後の講義科目である。 80人ほどが、私語もなく、しんと聴いてくれている。 書くとはどういうことか。語るとはどういうことか。総じて、他者と言葉をかわすというのは、どういうことかという根源的な問題を考察する。 授業というよりは、私ひとりがその場であれこれと思いつくまま語っていることを、学生たちが聴いているという感じである。 「落語が始まる前の、柳家小三治の長マクラ」が90分続く感じ・・・と言えば、お分かりになるだろうか。 昨日のクリエイティヴ・ライティングは「エクリチュール」について論じた。 ご存じのように、エクリチュールというのはロラン・バルトが提出した概念である。 バルトは人間の言語活動を三つの層にわけて考察した。 第一の層がラング(langue) これは国語あるいは母語のことである。 私たちはある言語集団の中に生まれおち、

    taiz-y
    taiz-y 2010/11/21
    「言語運用は階層社会を再生産するためのもっとも効率的な装置である」
  • 池谷裕二さんの講演を聴く - 内田樹の研究室

    池谷裕二さんが中之島の朝日カルチャーセンターで講演をすることになったので、ご挨拶にお伺いする。 池谷さんは講演ということをされないのだが、どういうわけか去年の11月にここで私と対談をしたときに、モリモトさんに籠絡されて、また講演をすることになってしまったのである。 ふだんは郷の薬学部の奥まった研究室にこもって、世間に顔を出さない池谷さんを「なま」で見られる機会を得たことを私どもはモリモトくんに感謝せねばならぬ。 例によってものすごいハイスピードで、最新の脳科学の驚くべき知見を乱れ打ち的にご紹介いただく。 面白かったのは、「トム・クルーズ」ニューロンと「ハル・ベリー」ニューロンの話だったけれど、それは面白すぎるので、また今度。 忘れないうちにメモしておこうと思ったのは、スワヒリ語40単語を覚えるプログラムの話。 それをご紹介しよう。 スワヒリ語の単語40語を学習して、それから覚えたかどうか

    taiz-y
    taiz-y 2010/07/13
    出力の大切さ
  • 幼児化する男たち - 内田樹の研究室

    『Ane Can』という雑誌の取材を受ける。 『Camcan』のお姉さんヴァージョンである。 このところ女性誌からの取材が多い。 どうしてだろう。 わからない。 インタビュイーの選考は先方のご事情なので、私の与り知らぬことである。 お題は「愛と自立」 う〜む。 「愛をとるか、自立をとるか」でお悩みの20代後半女性にアドバイスを、というご依頼である。 端的には「仕事をとるか、結婚をとるか」ということのようである。 つねづね申し上げているように、これは問題の立て方が間違っている。 仕事結婚も、どちらも人間が他者と取り結ぶさまざまな interdependent なかかわりの一つであり、どちらも人間が生き延びるためには「あったほうがよい」ものである。 「仕事もない、配偶者もいない」というのがワーストで、「おもしろい仕事もあるし、すてきな配偶者もいる」というのがベストであり、その間に無数のグラデ

  • 英語公用語化について - 内田樹の研究室

    「ユニクロが公用語、英語に」という新聞の見出しを見て、「UNIQLO」という単語が英語の辞書に採択されたのか、すげえと思っていたら、そうではなくて、社内の公用語が英語になったのである。 日の企業ではすでに日産と楽天が公用語を英語にしているが、ユニクロも「日のオフィスも含めて、幹部による会議や文書は基的に英語とする」ことになった。 柳井正会長兼社長は「日の会社が世界企業として生き残るため」と語っている。 海外で業務ができる最低限の基準として、TOEIC 700点以上の取得を求めるのだそうである。 こんな時代にサラリーマンをしていなくてよかったなあ、と心底思う。 英語が公用語という環境では、「仕事はできるが英語はできない」という人間よりも「仕事はできないが英語ができる」という人間が高い格付けを得ることになる。 英語が公用語になったある学部では、英語運用能力と、知的ランキングが同期してし

  • 疾走する文体について - 内田樹の研究室

    英文学者の難波江和英さんと同僚として過ごすのもあと一年。 最近はふたりとも学務が忙しいし、難波江さんは長くご両親の介護をされているので、むかしのようにゆっくり遊んでいる暇がない。 そこで、「先生ふたりゼミ」をやることにした。 メディア・コミュニケーション副専攻の第四学期の演習科目がそれである。 これだと週に一度必ず90分間おしゃべりできる。 それも主題限定。言語の問題、それだけである。 きわだった言語感覚をもつこの文学研究者から同僚として影響を受けるこれが最後の機会である。 毎週いろいろなテーマで学生を巻き込んで熱く語り合っている。 何かを学生に教えるというより、私たちが対話をつうじて「発見」していることを学生たちにもリアルタイムで共同経験してもらうというような授業である。 昨日のテーマは「文体は疾走する」。 ドライブする文体と、そうでない文体がある。 すぐれた作家は一行目から「ぐい」と読

  • マトグロッソ始まりました。 - 内田樹の研究室

    お待たせしました、ようやくマトグロッソ始まりました。 やれやれです。 http://www.matogrosso.jp/ ブックマークしておいてくださいね。 いろいろな企画があるんですけれど、NSP もその中にあります。 いよいよ格的にストーリー募集です。 募集要項 National Story Project Japan みなさん、こんにちは、内田樹です。 ポール・オースターの『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』の「日版」を作成することになりました。 お読みになった方はご存じですよね。新潮社とアルクから訳が出てます。翻訳は柴田元幸さんたち。 『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』はどういうものかと申しますと、アメリカのいろいろな普通の人たちに寄稿してもらったショート・ストーリーの中から佳作をラジオでポール・オースターが朗読するという、それだけのものです。 でも、これが面白いんで

    taiz-y
    taiz-y 2010/05/28
    ナショナル・ストーリー・プロジェクト
  • リンガ・フランカのすすめ - 内田樹の研究室

    大学院のゼミで、シェークスピアの受容史について論じているときに(いったい何のゼミなんだろう)通訳翻訳コースの院生から、私の論の中にあった「言語戦略」という概念についての質問を受ける。 言語は政治的につよい意味を持っている。 母語が国際共通語である話者は、マイナー語話者(たとえば日語話者)に対してグローバルな競争において圧倒的なアドバンテージを享受できる。 なにしろ世界中どこでも母語でビジネスができ、母語で国際学会で発表ができ、母語で書かれたテクストは(潜在的には)十億を超える読者を擁しているのである。 自国のローカルルールを「これがグローバル・スタンダードだ」と強弁しても、有効な反論に出会わない(反論された場合でも、相手の英語の発音を訂正して話の腰を折る権利を留保できる)。 だから、自国語を国際共通語に登録することは、国家にとって死活的な戦略的課題である。 ご案内のとおり、20世紀末に、

    taiz-y
    taiz-y 2010/05/12
    言語政策 植民地
  • アカデミアと親密性 - 内田樹の研究室

    私大連のヒアリングがある。 飯学長と二人で、いろいろと大学経営についてのご質問を受ける。 聴き手は広島女学院大学の今田寛学長と私大連の職員お二人。 私大連加盟大学のうち、「地方」にある、「学年定員800人以下」の大学はどこも志願者確保に苦戦している。 加えて「ミッション系」の「女子大」の状況はさらに厳しい。 その中できわめて例外的に志願者確保に成功している大学がいくつかある。 学もその一つである。 定員管理が「入学者が多すぎる」というかたちで失敗するというのは、志願者確保に苦労している大学からは「贅沢な悩み」だと言われる。 「どうして、これほど悪い条件が揃っているにもかかわらず、志願者を集めることができているのか」を調べて「成功の秘密」を検知するという趣旨のヒアリングなのである。 改めて訊かれると、さあ・・・どうしてなんでしょうねと学長と顔を見合わせてしまう。 立地条件が特によいわけでは

  • マスメディアの凋落 - 内田樹の研究室

    光文社から出る『メディアと知』という仮タイトルのを書いている。 もともとは3年ほど前にやった授業の録音をテープ起こしして、それにちょいちょいと手を入れて・・・というお手軽のつもりだったのだが、書き始めると、「あれも書きたい、これも書きたい」ということで、どんどん話がくどくなる。 まだ第二講なのに、もう3万字。 全体で第七講くらいまでで収めたいのだが、収まるかしら。 メディアに論点を特化している。 マスメディア(テレビと新聞)の凋落、インターネットとメディア、ミドル・メディア、書籍文化、コピーライト、メディア・リテラシー、それにもともと「キャリアデザインプログラム」の中の授業だったので、最初のところではキャリア教育についても語っている。 マスメディア、とりわけ新聞の凋落について今書いている。 新聞メディアの急速な失墜をほとんどの人は「インターネットに取って代わられた」という通信手段のシフ

    taiz-y
    taiz-y 2010/04/19
  • 「なんとなく」の効用 - 内田樹の研究室

    合気道のお稽古に行ったら、入会希望者が7人来ていた。 そのほかに見学者が2人。 このペースで入会されていただくと、遠からず道場は「いかなごの釘煮」状態になってしまうであろう。 四月というのは新しいことを始めたくなる季節であるので、毎年四月第一週の入門者というのは多いのであるが、それにしても・・・ 私のを読んで来ました、という人はそれほど多くない。 ほとんどのかたは「なんとなく」ネットで調べているうちに、家の近所にある道場とか、時間の合う道場を見つけて来られたのである。 だが、不思議なもので、確率的に言うと、はっきりしたモチベーションを持って入門した人と、「なんとなく」入門した人では、「なんとなく」の方が長続きするのである。 『あくび指南』にもあるとおり、「友だちに連れて来られた人」の方が「引っ張ってきた当人」よりも格的になってしまうというのは「ありがち」なことである。 よくタレントのデ

    taiz-y
    taiz-y 2010/04/19
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