「昨日のことのように思いだされる」。鈴木代表が感慨深げに振り返ったのは2005年11月1日。F1チーム立ち上げを発表した会見のことだ。「あの日も壇上に一人、きょうも一人。だけど今は一緒に戦ってくれたドライバー、スタッフやファンの皆さんが付いてくれている」 現在のF1は多くのチームを自動車メーカーが直接所有し、資本と技術をかけて競い合っている。経費が高騰し、スーパーアグリのようなプライベートチームの参戦は困難だ。そんな状況に歯止めをかけようと、08年からは他チームのシャシーを購入しての参戦が認められるなど改革が行われるはずだった。 スーパーアグリも、改革を見越しての参戦だった。ところが実際には10年以降、完全に自社製作した車でなければ出場が認められなくなるなど、その後の状況は逆行した。スーパーアグリはホンダの前年型マシンの改良型を使用してきたが、これが不可能になるため、逆算すると09年には完