今、団塊の世代に、起業ブームが起きている。たとえば、東京都中小企業振興公社が主催する「TOKYO起業塾」では年1回、シニアコースを開催している。応募者は「この3~4年で倍に増えている。定員を増やして対応している」(新事業創出課の鈴木哲也・起業支援担当係長)という活況ぶりだ。 「団塊の世代は会社をリタイヤしても、社会はリタイヤしたくない人たち。今までの経験を生かして、積極的に起業し始めている」(博報堂・新しい大人文化研究所の阪本節郎所長) 都内でIT系の人材仲介業を行う「IPOテクノ」の加瀬滋さん(65)も、そのうちの1人。POSシステムやATM(現金自動預払機)などを製造する日本NCRで工場の生産管理などを行ってきたが、米国のコンピュータ会社DECが日本に進出した時に同社へ転職。その後、IT企業でソフトウエアの受託開発などに携わり、2008年5月に60歳で定年退職した。 だが、定年後も加瀬