第三者委員会の報告書では、さまざまな東芝の不適切な会計処理の手法が明らかにされた。発電所などのインフラ関連事業での水増し額が477億円、映像・パソコンで計680億円、半導体で360億円にのぼる。そこには主要事業のほぼすべてで水増しが横行していた実態が浮かぶ。 一連の利益水増しが発覚した最初の舞台となったインフラ関連。ここでは、長期にわたる工事の進(しん)捗(ちょく)状況に応じて収支を各年の決算に分散して計上できる「工事進行基準」という会計処理が水増しの温床となった。 発電所のボイラーやタービンを平成19年2月に受注した案件では、資材価格の高騰で同年12月に12億円の工事損失が見込まれたが、引当金が計上されていなかった。このほか、為替変動の影響で見積もりの工事原価総額が収益額を超過したり、見積もりの甘さから損失が生じたりするケースもあった。多くが損失が分かっても、適時に引当金を積んでいなかっ