著者:林 信行=ITジャーナリスト ここまでiPhoneの魅力や,アップルの優れたもの作りの姿勢を考察した。改めて見てみると,ユーザー重視のまっとうな開発姿勢だが,なかなかこれを実践できるメーカーがない。いったい,なぜなのだろう。今回はその理由を探りつつ,アップルに近い「モノヅクリ」を実現するために,日本の端末メーカーが乗り越えなければならないハードルをいくつか検証してみたい。 携帯電話端末の開発に限っていえば,携帯電話で使うOSの見直しなど技術的な対策も考慮しなければならない。しかし,ここでは重要な第一歩となる会社の基本的な考え方の部分について考えていきたい。iPhoneのような端末を作るため,メーカーがまずやるべきことは,(1)事業の枠組みを見直すこと,(2)自身のアイデンティティに合った製品構想を作ること,そして(3)開発体制を見直すこと --- の3つになる。 事業の枠組みを考え直