あらゆる分野で専門化・細分化が進む一方、異分野連携(車の電子化、医工連携など)やIoTの動きも強まり、複雑なシステムやプロジェクト(以下、複雑系と呼ぶ)を分析・管理する必要性が増しています。そこで、役に立つのがDSM (Design Structure Matrix) です。DSMは1990年代から(米)MITを中心に推進されているモデリング手法で、私は2003年から使い始めました。2007年には機械工学便覧で設計工学手法として紹介されました。以下、DSMの原理と面白さを解説します。 従来、複雑系を可視化・管理するモデリング手法として思い浮かぶのは、図1のように縦割り構造を定義するツリー図と、横串に相当するネットワーク図やフローチャートと呼ばれる図2のような箱&線図です。この例では、説明のために要素数A~Hの8にしてありますが、実務では要素は数十、数百で、可視化セッションをするたびに箱&線