たゆまぬ技術開発により、核融合は今や夢物語などではなく、手の届く技術になった。設計、材料、制御などの主要な課題はすでに解決の見通しが立っている。後は、まず実験炉を造って動作を確かめたのち、いよいよ実用炉へと開発を進めてゆけばよい(動画による平易な解説はこちら)。本稿では気になる発電コストの見通しと、今後必要な実験炉への投資について述べよう。 核融合エネルギーは二酸化炭素を出さずに安定してエネルギーを供給可能な未来技術として注目されてきた。だがその最近の進展は意外に知られていないかもしれない。いま日・米・露・中・韓・印の6か国+1地域(EU)の国際協力で、核融合実験炉ITER(イーターと発音する)の建設がフランスで進んでいる。完成は2020年代後半で、2035年にはフルパワーの50万キロワットの熱出力を計画している。これは20-25万キロワットの電気出力がある火力発電所の熱出力と同じくらいの