新聞の文藝時評というのは明治期からあって、近松秋江、正宗白鳥、また大正から昭和の川端康成、小林秀雄などが有名だが、一人の人が一新聞の時評を続けて担当するようになったのは戦後のことで、それにつき小史を掲げておく。当初は、文藝雑誌の新年号が12月に出るから、12月から交代するのが一般的だった。後ろにそれをまとめた単行本を掲げておく。●は実作者である。 なお読売新聞は84年から91年まで、新聞記者が「文芸」と題して文藝月評をやり、批評家には季評をさせていた。98年にその方式を復活させ、これが笙野頼子論争の発端となった。 毎日新聞 1955−68 平野謙 『文芸時評』河出書房 1968.12−69●安岡章太郎 『小説家の小説論』河出書房 1969.12−78 江藤淳 『全文芸時評』新潮社 1978.12−86 篠田一士 『創造の現場から』小澤書店 1987−93 秋山駿 1993−2010 川村湊