ブックマーク / d.hatena.ne.jp/semi_colon (48)

  • 逃げるゴキブリが目の前から消えるところにヒントを得たロボット - 蝉コロン

    科学, 動物論文:Rapid Inversion: Running Animals and Robots Swing like a Pendulum under Ledges PLoS ONE 7(6): e38003. doi:10.1371/journal.pone.0038003 http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0038003 飛び込み台みたいな板の上を走って行って、そのまま落ちるのかと思いきや、板に後ろ足を引っ掛けて裏っかわへギュイ〜ンと回って去っていく。この全く速度を緩めずに方向転換するワザに捕者(人間)は「あ、消えた!」と思うわけです。 なんかこう、ゴキブリは脚の動きが宙を掻いているようですがヤモリは前肢止まってワー!ってなってますね。どちらも何事もなかったかのように裏を走っ

  • 「アトピー慢性化の原因たんぱく質を発見」という報道の論文を読んでみました - 蝉コロン

    科学アトピー性皮膚炎慢性化 原因を解明 NHKニュース個人的な事情でこういう脳天気な見出しには反射的に怒りを覚えるのですが論文は面白かったです。とは言っても基的にはまだマウス実験なので、臨床的にはこれからですケド。 論文:Periostin promotes chronic allergic inflammation in response to Th2 cytokines Miho Masuoka, Hiroshi Shiraishi, Shoichiro Ohta, Shoichi Suzuki, Kazuhiko Arima, Shigehisa Aoki, Shuji Toda, Naoki Inagaki, Yuichi Kurihara, Sayaka Hayashida, Satoshi Takeuchi, Kenta Koike, Junya Ono, Hirokazu

  • DNAでもRNAでもない新たな遺伝物質XNAについて - 蝉コロン

    科学遺伝、進化できる物質作製に成功 生命起源や研究に貢献 - 47NEWS(よんななニュース)進化するだなんだ言っていますが、どうなんでしょう。実際の論文はこちら。 Synthetic Genetic Polymers Capable of Heredity and Evolution さて、DNAの構造はこんな感じです。http://en.wikipedia.org/wiki/File:DNA_chemical_structure.svgデオキシリボースという五炭糖(図中オレンジ)がリン酸(図中黄色P)を介して連なっていて、AGCTの塩基が枝みたいに伸びています。二鎖の相補対が点線で結ばれてます。ちなみに図でバックボーンと書かれているように、塩基がなくても縦のリン酸結合の数珠つなぎ自体は壊れない。DNA二鎖だったらそういう塩基のない部分は歯抜けみたいになりabasic siteと呼ば

  • 2011 Nikon Small World in Motionのミジンコが可愛い。 - 蝉コロン

    科学こないだの手塚治虫学位論文の件でも誰かが言ってたけれども、綺麗でちょっと面白い(そしてもちろん学術的にも意義のある)顕微鏡写真ってどっかでコンテストが開かれたりしています。ニコンではNikon Small Worldというのを長年やっていて、そのタイムラプスビデオ版的なNikon Small World in Motionがあります。 Nikon Small World - Photomicrography Competition その20011年受賞者が発表されていました。 Nikon Small World - Small World in Motion Gallery - Place, 2011 - 佳作賞も面白いのあって、全部紹介したいところだけれどもとりあえず受賞三作品を。 胚発生初期の造血は卵黄嚢で行われる。3日齢のニワトリ卵、キャピラリーで卵黄嚢血管にインクを入れて、脈管

  • 手塚治虫の学位論文を読んだよ - 蝉コロン

    研究者@h_hiraiさん経由で知ったtweet 手塚治虫の博士論文がついに誰でも見られるようになった。ありがとう、インターネット。GINMU: Item 10564/1075 URL 異型精子細胞における膜構造の電子顕微鏡的研究 2012-02-01 22:28:14 via web ということで、いつから読めるようになっていたのかは知らないのですが、眺めて見ました。GINMU: Item 10564/10751960年の奈良医学雑誌 Vol.11 No.5 p.719-735『異形精子細胞における膜構造の電子顕微鏡的研究』というタイトルでタニシの精子を電子顕微鏡で観察したのだそうですよ。ファイル名が「手塚治氏原稿(真).pdf」なのだけれど、(真)ってなんだろ。 透過型電子顕微鏡(TEM*1)は細胞内の超微細構造を観察する手段。サンプルを樹脂に埋めて、この樹脂の重合も季節によって配合を

  • 恋は錯覚 - 蝉コロン

    動物ニンニンニーン!Science論文:Illusions Promote Mating Success in Great Bowerbirds 以前紹介した東屋を作るニワシドリの視覚トリック - 蝉コロンの続きです。庭師鳥。オスが立派な東屋を作ってメスに求婚する不思議な生態。東屋の周りは石が敷き詰められているのだけど、その石の大きさがメスの方向から見て「手前ほど小さく奥ほど大きく」なっているというのが前回のCurrent Biology論文でした。これで実際より奥行きが無いように見せているらしい。実際より高くみせようとするディズニーランドのシンデレラ城とは逆。 奥行きが分からないと手前の物が大きく見えます。いや元々手前の物は大きく見えるのが当たり前なんだけど、距離情報にトリックがあると当に大きいのだと錯覚してしまいます。特に写真みたいに視界が制限されている場合では。Forced Per

  • 家畜に感染する未知のウイルスがドイツとオランダでアウトブレイク - 蝉コロン

    ウイルスNew Animal Virus Takes Northern Europe by Surprise - ScienceNOWより。take ... by surpriseで「…に不意打ちをかける」。 暫定的にSchmallenberg virusと呼ばれている。シュマーレンベルグウイルス。昨年の夏頃にドイツの乳牛で感染の兆候として発熱と乳量の減少があったので調べていたところ、メタゲノム解析を行い11月に新種のウイルスとして確認。今月14日にこのScienceNowの記事が出た時点でドイツ 20、オランダ 52、ベルギー 14カ所の飼育上で感染が確認されている。 ウシ、ヒツジ、ヤギで子宮内垂直感染して奇形胎仔や死産を引き起こす。ヒツジでは水無脳症等の先天性奇形がクリスマス前あたりから生まれてきている。ウシでは2-3月が出産時期になるのでこれからか。小昆虫(サシバエ属)による媒介が疑

  • 擬態するタコで有名なミミックオクトパスに擬態する魚 - 蝉コロン

    タコほんとは今日こっちをアップする予定だったのに真面目なエントリに差し替えたら、ニュース - 科学&宇宙 - 擬態の擬態? 物まねダコをまねる魚(記事全文) - ナショナルジオグラフィック 公式日語サイトで先越されてしまった。 ミミックオクトパス(ゼブラオクトパス;学名Thaumoctopus mimicus)という擬態で有名なタコがおります。sea snakes, lionfish, flatfish, brittle stars, giant crabs, sea shells, stingrays, jellyfish, sea anemones, and mantis shrimpに擬態できるという触れ込み。インドネシアの北スラウェシ州。今回、このタコに擬態しているとしか思えない小魚が見つかりました。Black-Marble Jawfish(Stalix histrio)普段は砂

  • 腸内細菌の変化で食欲が増してメタボリックシンドローム - 蝉コロン

    科学くっ…静まれ、俺の腸内細菌*1たちよ…っ!グアァーー!ムシャムシャムシャという話です。 昨年4月の論文:Metabolic Syndrome and Altered Gut Microbiota in Mice Lacking Toll-Like Receptor 5 , Science 9 April 2010: Vol. 328 no. 5975 pp. 228-231, DOI: 10.1126/science.1179721 TLR(トールライクレセプター)というのがあって、数年前から免疫分野では流行りの一つです。細菌とかウイルスしか持ち得ないような分子構造を認識する。「誰か来たみたいですよ」から始まる抗体と違って始めから病原体に特化しているセンサーと言えるでしょう。種類がいくつかあって、今回はそのうちTLR5の話。こいつは細菌の鞭毛を認識するタイプのスタンド使いです。 遺伝子

  • DNAを介さずに100世代以上に渡って遺伝する獲得形質 - 蝉コロン

    科学近年、獲得形質の遺伝の事例がいくつか報告されているのですけれども、その影響はせいぜい数世代(もしくは次世代しか確認してない)だったと思います。最近のNatureハイライト:長寿のエピジェネティックな遺伝(要会員登録かも)では3世代だそうです。クロマチンの変化が初期化しきれないというのは、なんかiPS細胞に元の細胞のエピジェネな痕跡が見つかるようなもので、凄いんだか凄くないんだかはお話の作り方次第じゃないかなとも思うのですが、まあそれは置いといて。 今回紹介する論文は少なくとも100世代は遺伝する獲得形質についてです。筆者らもOur results therefore support the Lamarckian concept of the inheritance of an acquired trait.と言ってます。一体どういうことなのでしょうか、詳細は続きを読むから。 線虫とRN

  • 人間の体毛は何のためにあるのか - 蝉コロン

    モジャモジャしてますか?剃ったりしてませんか?そのモジャモジャがあなたを救うのです。 ヒトは他の霊長類と比べると体毛が全然無いんですがそれでもちょっとある。何であるの?という長年人類を悩ませてきた未解決の問題に立ち向かった研究者たちがいたのです。 彼らは、様々な濃さの体毛を持つボランティアを集め、南京虫(トコジラミ)をこっそりと腕に乗せたのだ。何かに気づいたらこのボタンを押してください。すると!よりモジャモジャな人(毛包の密度が高く毛の長い人)の方が、何かが俺の腕を這っていると気付くスピードが早かったのだ!!!腕の毛を剃り落としたらダメ*1!!!全然ダメ!!!そしてその一方で!南京虫の移動速度は毛に阻まれて遅くなる*2!!! つまり!!南京虫などの外寄生虫が!!!血ィ吸うたろかとか肌に向かって移動しても!!!!体毛モジャモジャだと、そこはまさに草木生い茂る大森林!!!!!歩きづらい!!!!

  • 「恐怖」に関わる扁桃体の働きとオキシトシンの作用 - 蝉コロン

    科学Oxytocin Selectively Gates Fear Responses Through Distinct Outputs from the Central Amygdala 大脳辺縁系にある扁桃体は情動を司る領域として知られている。この部分の損傷によって性行動異常や異などの症状が出ることがサルで報告されている。さらに「恐怖」の感情が失われていることが扁桃体中心核(CeA)を損傷させたラットやウサギの研究でも確かめられている。扁桃体の損傷により「恐怖」を感じることができない女性 - GIGAZINEという記事もあった。 この場合の「恐怖」は条件付けで学習させたもので、これに対する反応は2つフリージング反応(すくみ行動)心血管系の反応(血圧上昇・心拍数増加)で表出される。フリージングは中脳灰白質が、血圧変化は視床下部外側野が関係しているが、CeAはこれらとつながっていて(投射

  • 南京虫の最悪な交配様式 - 蝉コロン

    生殖南京虫(トコジラミ)。戦後ってイメージで現代の日ではそんないないっしょと思いきや、トコジラミ:日潜入 刺されると強いかゆみ 宿泊施設で発生相次ぐ - 毎日jp(毎日新聞)によると、最近日でも出てきているらしくて、決して遠き日の花火ではない。対岸の火事ではない。 ところで南京虫自身にも衛生面てのは大事で、オスの体表を覆っている細菌が交尾の時にメスに伝染って死ぬ。そりゃきれい好きの人間様だってSTDの問題があるけど、南京虫はいわゆるまあなんというか普通の交尾と違ってて、メスの土手っ腹に穴を開けて精子を送り込むのだ。そんで精子が血流を介して卵巣に泳いでいって授精(血管から卵へダイレクトに行けるもんなのかはよく知らない。drill into the reproductive tractとあるけどドリル?)。なんか楽しくなさそうな上にいかにも病気が感染しそう。bacteria-covere

  • ゾンビ遺伝子と「延長された表現型」 - 蝉コロン

    科学, 動物ニュース - 動物 - 幼虫を操る“ゾンビウイルス”の遺伝子(記事全文) - ナショナルジオグラフィック 公式日語サイト先週ナショジオ読んで、かばかりかと思ってたんだけど、論文タイトル見ると「延長された表現型」とあったので興味を持ちました。 A Gene for an Extended Phenotype Science 9 September 2011: Vol. 333 no. 6048 p. 1401. DOI: 10.1126/science.1209199 ナショジオ記事をざっくり要約すると、バキュロウイルスは宿主であるマイマイガの幼虫を木に登らせて体を溶かす。ウイルス粒子を含んだ液体がボトボト落ちて、それをべた他の幼虫に感染する。EGT遺伝子を除いたウイルスを感染させると、幼虫は高いところに登らない。EGT遺伝子を持っていなかったウイルスにEGTを組み込むと、幼

  • ウイルス感染映画コンテイジョンContagionが恐ろしいと話題に - 蝉コロン

    生活9月9日全米公開なのでまだ話題になってないですねスミマセン。スティーブン・ソダーバーグ監督Contagion。感染って意味だけどinfectionとの違いはなんじゃろ。接触感染のことみたいですね。インフルエンザはcontagious viral infectionとか言います。 多分「接触」によって、あー今ウイルスがうつったなーというのの見せ方が凝ってるんじゃないすかね。咳による飛沫感染と。パニック映画というよりはドキュメンタリーみたいな感じだそうです。トラフィックみたいに、ある社会問題に関わる人物たちの物語が同時進行する的な。実際予告編見ても面白そうではない。 そんかわしキャストが豪華で、アメリカ疾病予防管理センターCDCのチームを率いるのが、マトリックスでモーフィアスやってたローレンス・フィッシュバーン。疫学者がケイト・ウィンスレット。WHOのエージェントにインセプションでモルやっ

  • 3万年前のDNAから抗生物質耐性遺伝子が見つかる - 蝉コロン

    科学, ゲノムSuperbugs Predate Wonder Drugs - ScienceNOW細菌「持ってたわー。その抗生物質への耐性3万年前から持ってたわー」面白いかと思ったセリフ改変が書いてみるとやたら説明的でがっかりした。ええと、言うまでもなく抗生物質は細菌感染の治療に多大な貢献をしているわけですが、一方で耐性菌の出現も問題になっております。今回の論文はそういう薬剤耐性菌が三万年前にすでにそこら辺にいた可能性を示しています。 http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature10388.html "Antibiotic resistance is ancient" Nature, Published online 31 August 2011僕的には最近お気に入り*1のメタゲノム解析。カナダのユーコン準州

  • なぜ我々は動物を動物として認識できるのか - 蝉コロン

    科学感情を司る扁桃体の知られざる役割。「ブラッド・ピットは動物ではありません」ScienceShot: Brad Pitt Is Not an Animal - ScienceNOWという面白そうなタイトルにつられて読んだら、いろいろ考えてしまう実験だった。 http://www.nature.com/neuro/journal/vaop/ncurrent/full/nn.2899.html "A category-specific response to animals in the right human amygdala" Nature Neuroscience. 2011 Aug 28.被験者はてんかん患者41人で扁桃体に電極を入れて神経活動をモニターする。という方法で驚いたんだけど、薬物療法の効かない難治性てんかん患者は外科手術を必要としていて、頭蓋内に電極を留置して発作の検出で

  • 擬態するチョウの超遺伝子 - 蝉コロン

    科学, 動物大型のチョウで有名なオオカバマダラの親戚キオビマダラMelinaea mnemeは羽の模様が7種類あるんだけど、これに擬態するヌマタドクチョウHeliconius numata*1 *2もまた7種類の全パターンを真似できる(動画の1分くらいのとこで比べてます)。キオビマダラの万華鏡写輪眼による幻術の類だと思うんだけど、そうではなく超遺伝子の成せる技だという。 擬態と遺伝子毒を持つあるいは捕者にとって味がまずい生物というのは警戒色とかまあ派手な色彩であったりするけれども、別の種同士が似た様な模様になることをミュラー擬態という。一方、当は毒を持っていないのに毒がある他の種に擬態するのはベイツ擬態。協力的にしろタダ乗り的にしろ、どちらの擬態も鳥とかが「あの模様はヤバイ」と学習することが生存の肝になるので、確実に同じ模様にしていきたい。 ところが今回のチョウどもは7種類の模様の多型

  • ウイルスだけを殺すボルバキアかよ! - 蝉コロン

    科学, 動物, ウイルス蚊に細菌注射、デング熱ウイルスを封じ込め : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)熱帯地方に多いデング熱を媒介する蚊の体内に、病原ウイルスの活動を抑える共生細菌を感染させることで病気拡大を防ぐ予防法を豪クイーンズランド大などの研究チームが開発した。(中略)研究チームは、蚊やハエの体内に生息する共生細菌「ボルバキア」に着目。デングウイルスの働きを抑えるショウジョウバエのボルバキアを、デング熱を媒介するネッタイシマカに注射し、感染が確認された約30万匹を、今年1〜3月、豪クイーンズランド州の野外に放った。約2週間後に細菌を持つ蚊の割合を調べると、15%以上が細菌感染の蚊で、3か月後には90%以上に増えていた。"デングウイルスの働きを抑えるショウジョウバエのボルバキア"とはなんじゃろなと思って調べてみた。 ボルバキアについては当ブログでも紹介しているので過去

  • タラゲノム、もし抗体が無かっタラ。 - 蝉コロン

    ゲノム, 動物タラゲノムが解読された。ハーイ!いまどきゲノム読んだだけでトップジャーナルに載るなんておかしいですぅ〜というセリフが聞こえた気がしたが、一応なんか面白い知見が得られたようだよ。タラは日以外でも北半球の国々でよく卓に乗る魚だそうです。今回のゲノム解明が水産業的に意義があるのか、あるいは生物学全般で面白い事実が得られたのか、論文のウケが大きく変わってきますね。 The genome sequence of Atlantic cod reveals a unique immune system : Nature : Nature Publishing Group読んだのはタイセイヨウマダラのゲノムだそうで、万華鏡写輪眼とか使いそう。ところで今Google日本語入力が「タイセイヨウマダライルカ」をサジェストしてきてそういうのもあるのかと思った。 独自の免疫システムを進化させタラさ