上巻を一気に読んだので、下巻に突入しました。 (あとがきで分かったのですが)、編集部が手配したという12章、13章、16章はやはり訳がひどいですね。 きちんと校正したのか疑問です。 12章では不要な括弧が残っていたり、日本語になっていない部分があったり、 主語が不明な部分があり、何度か読み直す必要があったりという感じです。 13章の訳を改定する際に、12章も見直したのでしょうか。 また、訳を改定したという13章も他の章に比べるととても読みにくい。 一文に何度も、何度も彼が登場し、「彼が・・・、彼は・・・、彼の・・・」と いった感じです。とてもプロの仕事とは思えません。ひどいです。 本の内容はとても優れていると思いますし、面白いです。 編集部による訳以外の部分はしっかりしているので、星二つとしました。
ブギの女王・笠置シヅ子―心ズキズキワクワクああしんど [著]砂古口早苗[評者]横尾忠則(美術家)[掲載]2010年12月12日著者:砂古口 早苗 出版社:現代書館 価格:¥ 2,100 ■自由と平和と解放の象徴だった 廃虚と化した焼け跡風景の中に、まるでCGによるSFパニック映画の一シーンのように大阪城だけがポツンと取り残されていた。終戦後、母に連れられて鶴橋の闇市に米を売りに行った時、聞こえてきた歌は竹山逸郎の「異国の丘」でも並木路子の「リンゴの唄」でもなく笠置シヅ子の「東京ブギウギ」だった。 「私が書かなきゃ誰が書く」と言って書いたのが笠置シヅ子と同郷の香川県の人。笠置が読んだら、わてほんまによーいわんわ、と欣喜雀躍(きんきじゃくやく)間違いなし。彼女へのおべんちゃらばかりではなく、彼女の心の扉をこじ開けて不透明な闇の部分にも分け入る。 例えば彼女の持ち歌を歌って彼女の廻(まわ)りを
「小ざさ」への「羊羹」と「もなか」へのこだわり、創業者の父親から受け継いだものづくりの修業の日々、「小ざさ」とともに歩んできた道、工場で働く人たち、そして「小ざさ」への想いが綴られている。 本書では、「『小ざさ』ってそうだったのか!」「こんな取り組みをやっていたのか」と驚かされることが多い。 びっくりしたのが、羊羹を手に入れるのに「家族も従業員も列に並ぶ」ということ。「1本くらい」となってしまいそうなのに、「お客様を裏切ることにつながる」と、社長の旦那さんでさえも同じ条件で並んでもらうのだという。 本書によると、もともと、創業者である父親の伊神(いかみ)照男さんは1931年から「ナルミ屋」という菓子店を営んでおり、お客さんもついて評判のお店だったという。戦時中にお店をたたみ、戦後の1951年に「小ざさ」を創業。 組立式の屋台でのスタートだった。畳一畳分のスペースしかない屋台で、稲垣さんは朝
ウォーホルの芸術―20世紀を映した鏡 [著]宮下規久朗[掲載]週刊朝日2010年6月4日増大号[評者]青木るえか■ここまで怖いウォーホル本はない 読みすすむうちに気分が重くなってきて、読み終わったらすっかり暗くなってしまった。それはこの本がよくない本ということではなくて、いい本だからそういう読後感になるのだと思う。 アンディ・ウォーホルの作品について論じた本だが、あまり論じているという感じではなく「こういう作品はこういうモチーフでこういう時代背景でこういうふうに世の中に出てきた」という事実を詳細にたんたんと書いてある。そのたんたんとした事実の積み重ねが、なんだか異様に重苦しくどんよりした読後感を呼ぶ。ウォーホルの作品には死の匂いがする、なんて話を聞いたことがあり、その時は「何をかっこつけたようなことを」と思ったもんだが、ここでたんたんと突きつけられた作品を次から次へと見ていくと「アンディ・
日々の雑感的なもの ― 田崎晴明 一覧へ 最新の雑感へ タイトル付きのリスト リンクのはり方 前の月へ / 次の月へ 茶色の文字で書いてある部分は、相当に細かい仕事の話なので、ふつうの読者の方は読み飛ばしてください。 2010/1/1(金) あけましておめでとうございます。 昨年の 8 月で、私も XX 歳になりました。精神的には二十台前半から変わっていないつもりですが、さすがに体力は少しずつ衰えているようです。最近は、簡単な筋トレをしたり、週に一回程度プールに通うなど、若い頃とは違って意識的に体を動かしています。 昨年は慌ただしい年で、(全て国内ですが)四つの国際会議に出席しました。多くの素晴らしい研究者との再会・出会いがあり、私の進めている研究にも多くの人に興味を持ってもらえました。その反面、研究そのものの本質的な進歩はなく、もどかしい気持です。 相変わらず気が多く、やりたいことが無数
教皇庁の秘密文書保管所(Vatican Secret Archives)は17世紀にバチカン図書館から独立したもので、古いものでは1000年以上前までにさかのぼる大量の文書が保管されています。設立当初は教皇庁内部のごく限られた人々のみがこれらの秘密文書にアクセスできたのですが、1881年にレオ13世により一般の研究者にも公開され、今日では年間1000人ほどのバチカン外部の研究者が訪れます。 その秘密文書のうち105点の文書の複写が初めて本として出版され、その中には13世紀にチンギス・カンの孫グユクが教皇に服従を求めた書簡や、16世紀のスコットランド女王メアリーの嘆願書、サン・ピエトロ大聖堂(上の写真)を設計したミケランジェロが教皇庁に支払いを督促する手紙なども含まれるそうです。 詳細は以下から。Vatican reveals Secret Archives - Telegraph Vati
書き忘れましたが、私が読んだのは献本していただいたものです。山形浩生はどこかで、献本されたものは自分で買いなおしてそれでも割高感がなかったもの以外は書評しないと書いていて、それは一理あるので今回は「書評」ではないと明記しようと思っていたはずなのですが忘れました。というわけで、その点をご了承ください。 えーと、もう少し待とうかと思っていたんですけど、まあ書いちゃいます。 数学ガール ゲーデルの不完全性定理 (数学ガールシリーズ 3) 作者: 結城浩出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ発売日: 2009/10/27メディア: ペーパーバック購入: 37人 クリック: 930回この商品を含むブログ (156件) を見る 初めに(誤解を避けるために) 思っていたことをつらつら書いていたら、なんだかとんでもなく誤解を招きそうな文章になりそうだったので*1、重要な点をいくつか 良い本です。本
密かな「悦楽共犯者」たち テーマは「悦楽共犯者」です。文字通り、本を悦楽の共犯者=友として扱いたいと思います。 「悦楽共犯者」という、ちょっとクセのある言葉は、チェコのシュルレアリスト、ヤン・シュヴァンクマイエル氏の映画のタイトルから頂きました。この映画はシュヴァンクマイエル氏の映像スタイルである実写とコマ撮りアニメーションを駆使して描かれていますが、市井の人々の快楽に対する密(ひそ)かな愉(たの)しみをとことんまで追求した、“真剣な冗談”としか表現のしようがない作品です。私は可笑(おか)しさと孤独感漂うもの悲しさゆえに、大好きなのです。 この作品に出会うまで、「悦楽」という言葉を日常的に使うことなどほとんどありませんでしたが、この邦題の持つ不思議なニュアンスが妙に気に入ってしまい、それから本や映画など自分の心にぴったりくるものに出会うたび、そっと心のうちで「あ、悦楽共犯者に出会ったわ!」
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