「本当に信じられない感じです。あんなものでけがをするなんて、とても信じられないです」 東京地裁の法廷で、被告の男性はよく通った声で3人の裁判官に向かって答えた。原告席からは、その様子を憤然と見やる男性の姿があった。追突事故を起こし、5000万円を超える賠償訴訟を起こされた被告の男性は原告席に座る男性をにらみ返していた。(WEB編集チーム 三枝玄太郎) 東京地裁の判決文などから当時の状況を再現してみる。 平成23年10月6日午前9時36分ごろ、東京都足立区江北の高架下の都道で、千葉県松戸市のトラック運転手の男性(47)は4トントラックを運転していた。赤信号で停止したが、前に止まった軽トラックはなかなか発進しない。 「パン」と軽くクラクションを鳴らした。軽トラックはゆっくりと発進した。男性(以後A)は嫌な予感がした。前を行く軽トラックの運転手はバックミラーでチラチラとこちらを見ている。後ろを振