信仰がない私は、何に祈ればいいのだろうか。 どんな神様だって、私など助けてくれないと思う。 信仰があれば 信じる神がいれば きっと、今ほど苦しくはなかっただろう。 幼い頃、姉とふたりで初詣に行った。 私達は押し黙って足元を見ながら歩いた。慣れない草履で砂利道が歩きにくいのもあるが、私達の心は沈んでいた。 神社の鳥居の前で、私は姉にこう言った。 「私、もう神様に願い事なんかしないんだ。だって、願いが叶った事なんか一度もないもの」 姉は少し驚いたような顔をした。そして小さな声で 「私も」と言った。 すると側にいたおばさんが、いきなり声を張り上げた。 「アンタ達なんて事言うの!神様をそんなふうに言うなんて、このバチ当たりが!」 私達はその剣幕に驚いて顔を見上げたが、全然知らない人だった。 「どこの子供だろう?こんな立派な着物を着せてもらって、お参りに来ているっていうのに…」 と、心底呆れたように