かつて日本には300もの城があったが、現在まで天守が残る城はわずか12しかない。歴史評論家の香原斗志さんは「明治政府が出した廃城令により、多くの城は壊されてしまった。12の城が残っているのは、どれも奇跡といえる」という――。 なぜ日本には城が残っていないのか 日本では、大きな都市は城下町であることが多い。代表的な例でいえば、47都道府県庁の所在地のうち31は、かつての城下町である。明治の廃藩置県後、地域の中心都市に都道府県庁が置かれたケースが多かったが、当時はそれなりの都市といえば、たいていが城下町だったのだ。 都道府県庁所在地だけではない。日本には天守が現存する城が12あるが、そのうち弘前城(青森県)、松本城(長野県)、丸岡城(福井県)、犬山城(愛知県)、彦根城(滋賀県)、姫路城(兵庫県)、備中松山城(岡山県)、丸亀城(香川県)、宇和島城(愛媛県)は、県庁所在地にはない。 明治維新を迎え