オルゴールの音色を聴きながら、女性からの点字のメッセージを取り出す淡路久さん=南アルプス市鮎沢、柏原写す今年度、県立盲学校を卒業する生徒たち=9日午前、甲府市下飯田2丁目、柏原写す 甲府市の山梨県立盲学校に今年もまたオルゴールが届いた。匿名の女性が45年前から毎年、卒業する生徒たちに贈り続けている。今年も10日の卒業式で、盲学校を巣立つ10人の生徒に一つずつ手渡される。どんな温かな音色が奏でられるのかは、木箱を開けてみるまでわからない。 オルゴールが届くようになったのは、1964年に高等部の生徒がクラリネットをなくしたことがきっかけだった。新聞などで報じられると、新しいクラリネットが生徒に送られてきた。送り主は「一女性」。翌年の卒業式には、この女性からオルゴールが届いた。添えられた手紙には「クラリネットのことで、初めて盲学校のことを知りました。社会の荒波にもまれ、悲しいこと、苦しいこと