吉川良三(よしかわ・りょうぞう)氏 1940年生まれ。64年日立製作所に入社後、ソフトウエア開発を担当し、CAD/CAMに関する論文を多数発表した。日本鋼管(現JFEホールディングス)を経て、94年に韓国サムスン電子に入社。常務としてデジタル技術を活用した設計・開発の業務革新を担当した。帰国後、2004年より東京大学大学院経済学研究科ものづくり経営研究センター特任研究員として、日本と海外の製造業を比較研究している。 主な著書に『危機の経営~サムスンを世界一企業に変えた3つのイノベーション』(講談社、畑村洋太郎氏との共著)。(写真:中村 宏) ―― サムスン電子の役員として約10年間働いた経験をお持ちです。成長が続くサムスンの人材育成にはどのような特徴があるのでしょうか。 吉川 実はサムスンの人材育成は、日本企業に学んだ社員教育の手法が基盤になっています。サムスングループの創業者であるイ・ビ