1.はじめに 最近他の出版社の方などと会うと、自分の仕事上、電子教科書あるいはデジタル教科書の話を向けられることが多い。おそらく、電子書籍というものがある種の「救世主」扱いされている中、具体的な「電子書籍」の一つとして「電子教科書」がイメージしやすいからなのだろうか。 つまり、今の教科書は紙媒体だが、これを電子化し、インターネットに繋がった状態にした上で、いろいろな情報を生徒に調べさせたり、教科書本文と関係した情報を付随させることによって学習効果が高まる。例えば、英語であれば単語の意味や音声での読み上げであり、理科であれば実験の動画など、社会であれば写真だけでは伝わらない世界各地の情報など。確かに、単に文字情報をデジタル化した「電子書籍」ではない、広義の意味での「電子書籍」としては実現もしやすそうだからということなのだろう。 さて、電子書籍の先行事例として電子教科書(デジタル教科書)が挙げ