この本は……とても楽しく訳すことができました。書籍というのは長丁場なので、けっこう楽しくやっていても、途中、苦しいことがあったりするものなのですが、この本は、終わったとき、「楽しかった~」という思いだけが残りました。こんなの、『アップルを創った怪物―もうひとりの創業者、ウォズニアック自伝』以来です。 今回の本が楽しかったのは、しゃべりの大半がジョブズのプレゼンだったからかもしれません。優れたプレゼンテーションとするポイントとして本書では「楽しむこと」が挙げられていますが、ジョブズが楽しんでいることがびんびん伝わってくるしゃべりが多いのです。その楽しさが伝えられる訳文にするため、日本語のほうもちょっとはっちゃけたものにしてあったりします。 しゃべりを大切にということでは、日本語の組版もいつもとちょっと違い、段落中のしゃべりが目立つ組み方になっています。こちらの形のほうが日本語としては自然だと