人里離れた「ビオコントロール」の工場に隣接したショップには、生きたマルハナバチ、テントウムシ繁殖キット、コウモリの巣といった奇妙な商品がある。訪れる客は菜園やガーデニングを趣味とする個人から農業経営者まで。マルハナバチはトマトの受粉に働く。テントウムシはアブラムシを食べ、コウモリは害虫の天敵だ。 しかし、ショップで扱うこうした商品はほとんど外国からの輸入品。ビオコントロールの本領は、害虫駆除のための生物農薬の製造。その世界ではリーダー的存在だ。 害虫駆除に生物を使う 生物農薬の代表格は、蚕を死に至らしめる病原細菌として20世紀早々に発見された「バチルス・チューリゲンシス」だ。日本で最初に発見されたものの、ドイツで新種の細菌として認められたため、発見されたチューリンゲンにちなんで命名された。蚕には有害な細菌だが、人体や環境に安全な害虫駆除の生物農薬「BT剤」として今では広く世界で使われている