無法地帯 若者に無力感 米国の若者は統計上、銃によって死ぬ可能性のほうが交通事故より高い。異常な銃社会の実態を探った。 「昨年2月に兄が殺されて以来、私は人間に対する信頼を失った。兄は友人に射殺されたのだから」。西部カリフォルニア州オークランドの黒人高校生キア・ハンソンさん(17)が語った。異父兄ダニエル・フォスターさん(当時22歳)が友人に射殺されたのはパーティー帰りの路上。兄は面倒見がよく、ギャングのメンバーでもなかった。 ダニエルさんの妹で、キアさんの異父姉にあたるアマニ・フォスターさん(22)は「人生で頑張ることに意味はあるのか、と時々考える。次に死ぬのは自分かもしれないのに」とつぶやいた。13歳のときに父が殺され、15歳になるまでに家族や友人の葬儀を23回経験した。大半は銃犯罪の犠牲者だったという。