NHKの連続テレビ小説「なつぞら」が好評のまま幕を閉じたが、53年前には最高視聴率56・4%を記録した連続ドラマがあった。タイトルは「おはなはん」。新人女優の愛くるしい笑顔が日本中をとりこにした。ヒロインだった樫山文枝さんは今、78歳。日本社会を見据えた新作演劇の舞台でどんなことを感じているのか。【奥村隆】 連続テレビ小説の主役は人気女優への登竜門とされる。例えば「水色の時」(1975年)の大竹しのぶさん、「ひまわり」(96年)の松嶋菜々子さん、「純情きらり」(2006年)の宮崎あおいさん――。しかし、あの当時、劇団民芸に入ったばかりで24歳だった樫山さんは迷いに迷っていた。「カメラテストの出来が良かったと知らされましたが、1年間もテレビに出るってどういうことなのか、判断できなかったんです」。大きな…