(文春文庫・660円) 生身の人間の応対は代替できない コールセンターでの仕事はきつくて厳しいことで有名だ。日本国内で現在約60万人がこの仕事に従事しているという。非正規が多く、離職率も高いので、コールセンターでの仕事を経験した人の数はかなりに昇るはずだ。本書は、榎本まみ氏(ペンネーム)による貴重な参与、観察記録だ。 <私は、新卒で配属されて以来、ずっとコールセンターという場所で働いています。社会人になって、最初に就いたのはクレジットカードの支払いを延滞しているお客様に入金のお願いをする、「督促」と呼ばれる電話をかける仕事でした。/督促というのは、コールセンター業界のなかでも、クレームやトラブルが多いことで有名です。お金がない状態のお客様に支払いを促すので、当たり前ですよね。払いたくても払えないのに、催促され…