(勉誠出版・3520円) 「再近世化」の視座 「歴史」は回復可能か 本書は、著者の話題作『中国化する日本』(2011年)刊行前後から病気療養(重度のうつ病)に入る前までに書かれた諸論考を収録している。小康を得た與那覇氏は18年に『知性は死なない』を発表し復活を果たしたが、同時に「歴史家廃業」を宣言した。 廃業の理由はシンプルだ。従来「歴史」とは、方向性を持った連続体であり、過ぎ去ったものでありながらわれわれの現在の生につながるものだとされてきたが、現代人はそのような意味での歴史を必要としていない。現代人は歴史的存在でなくなり、「歴史」は消えた。そうであれば、「歴史」を探求する「歴史家」も存在し得ない。ゆえに廃業する。
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