(岩波文庫・1584円) 言語からはみ出すジャンルの論理性 旧訳はあるが、今回新訳で文庫として出版されることになった。原著の初版は一九四二年の刊行、その後何回か版を重ねている。著者(一八九五-一九八五)はアメリカで女性の哲学者として認知された、最初の人物だろう。アメリカ生まれではあるが、両親ともにドイツ系で(因(ちな)みに結婚した相手もドイツ系だった)、彼女の母語はドイツ語だったという。幼い頃からピアノを弾き、終生チェリストでもあった。母語がドイツ語だったことは、当時の先行するドイツ語系の哲学書、カッシーラーに代表される新カント派、ヴィトゲンシュタインを象徴とするウィーン学団と呼ばれる論理実証主義の一派などに親しむのに有利な立場にあり、アメリカにいることで、ラッセル、ホワイトヘッドなど英米系の同時代的哲学思想、さらには、心理学の新しい成果(例えばケーラーのゲシュタルト概念)などを読み込む環
![今週の本棚:村上陽一郎・評 『シンボルの哲学 理性、祭礼、芸術のシンボル試論』=S・K・ランガー著、塚本明子・訳 | 毎日新聞](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/3654daeb12d5184173a5fe2bf5edbf54535cfd5f/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn.mainichi.jp%2Fvol1%2F2020%2F09%2F12%2F20200912ddm015070184000p%2F0c8.jpg%3F1)