食事はご褒美、明日への希望 日本の食文化をこよなく愛し、コロナ禍で日々追い込まれる飲食業界の現状に心を痛める男がいる。人気ドラマ「孤独のグルメ」(テレビ東京系)の主人公・井之頭五郎を演じる俳優、松重豊さん(58)だ。 五郎に自身を重ね合わせるようにして、松重さんはこんなふうに語り始めた。「コロナ禍の影響はこの先、まだまだ続くでしょう。このままでは世界に誇れる日本の食文化が消えてしまうのではないでしょうか」 井之頭五郎が食べ歩いたのは、星が付くような高級店やどこにでもある全国チェーン店ではなく、定食屋やラーメン店、焼き肉店など人々の日常生活に溶け込んでいるような店だ。その多くは個人経営でアットホームな雰囲気。どこにでもありそうで、実はどこにもない店。松重さんが言う「日本の食文化」の風景がそれだ。五郎はそうした店の名物料理を頂く。シーズン1~8で五郎が巡った店は実に100軒以上。「『孤独のグル