安倍晋三元首相が亡くなったと聞き、2013年1月、首相に返り咲いた直後のインタビューで聞いた政権論を思い出した。 「政権運営においては大目標の設定が重要だということですね」。「苦節5年の教訓は?」という私の質問への答えだった。 憲政史上最長政権(7年8カ月)の大目標は、現実的な安全保障政策の確立とデフレ脱却だった。
(河出新書・968円) 歴史家と小説家の対話から辿る漸近線 今日は六月二十三日から二週間と三日目、来月には八月六日があり、八月九日があり、八月十五日が来る。日本の戦争の記憶の夏。 あの戦争とは何だったのか、七十七年たってもこの問いに正解はない。あるのは正解への漸近線だけ。辿(たど)るには一歩ずつ努力が要る。 近代日本史の最前線の研究者とずっと戦争のことを考えて書いてきた小説家が対話によって歴史を一段階ずつ解き明かす。一つの事象には必ず前段階があるから、話は明治十五年の「軍人勅諭」から始まる。昭和期になって軍は統帥権を楯(たて)に議会を排除して国を動かしたが、当初、統帥権というのは政治家の干渉から軍を護(まも)るためのものだった。こういう知見が次から次へと披露される。
(文藝春秋・1320円) 固定観念“ふつう教”に抗する 何が正義で何が不正か、何が正気で何が狂気か。村田沙耶香はそれらを絶えず反転させながら、生(性)老病死のタブーに切りこんできた。その小説を読む者は、つねに意識を揺さぶられ、自分の固定観念に気づかされる。 「特定の正義に洗脳されることは、狂気ですよ」これは著者の「殺人出産」からの一節だ。村田の作品世界では、国家から町の共同体、友人グループに至るまであらゆる「集団」が、政権下の法や、ムラの掟(おきて)や、時代の空気に従え、と人びとに迫ってくる。集団が望むのは同化であり、盲従であり、思考停止だ。そうして「狂って」しまえば楽ですよ、保護されますよ、と。ディストピア機構が個人の意思をつぶす時の常套(じょうとう)手段だ。 そうして「~するのがふつうだ」と刷りこんでくる“ふつう教”に抗する人々を作者は描く。短編集『信仰』でもそれは同様だが、更にひねり
安倍晋三元首相が死去したことについて記者団の質問に答える岸田文雄首相=首相官邸で8日午後6時57分、竹内幹撮影 安倍晋三元首相が8日、銃撃されて死去したことを受け、与野党に衝撃が走った。10日投開票の参院選は最終盤を迎え、各党は票の掘り起こしに力を注いでいるが、急きょ街頭演説を取りやめるなど混乱した。長く政界に強い影響力を持った安倍氏の死去で、自民党内の力学は大きく変化する可能性もある。 岸田文雄首相は8日午後7時前、安倍氏死去について「祈りもむなしく、こうした報に接することになり、誠に残念で言葉もない」と述べた。目をうるませて、時折言葉に詰まりながら、首相官邸で記者団の取材に応じた。安倍氏が参院選の選挙演説中に銃撃されたことについては「民主主義の根幹たる選挙が行われている中、命を奪った卑劣な蛮行は断じて許せるものではない。最も強い言葉で非難する」と憤った。 首相は安倍氏と初当選同期だった
8日死去した自民党の安倍晋三元首相が残したレガシー(政治的遺産)のうち外交・安全保障政策や経済政策には功罪両面があり、積み残された課題も多い。 安保法制推進、対中露に課題 安倍氏は首相在任中、北朝鮮の核・ミサイル開発の脅威に対応するため、日米同盟の強化を進めた一方、日中関係の改善や北方領土問題を含む日露平和条約締結交渉は思うように進展しなかった。 第2次安倍政権は2014年、集団的自衛権の行使を禁じる政府の憲法解釈を変更する閣議決定に踏み切り、翌15年には野党の強い反対を押し切って、集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法を成立させた。安倍氏は安保関連法によって「日米同盟は互いに守り合う同盟となった」と繰り返し強調した。
8日午前11時半ごろ、奈良市の近鉄大和(やまと)西大寺(さいだいじ)駅周辺で、参院選の街頭演説中だった安倍晋三元首相(67)が銃撃された。安倍氏は心肺停止状態で奈良県立医科大付属病院に救急搬送されたが、同日午後5時3分に死亡が確認された。安倍氏は頸部(けいぶ)と左肩に撃たれた傷が計3カ所あり、失血死とみられる。奈良県警は現場にいた無職の山上徹也容疑者(41)=奈良市大宮町3=を殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。 捜査関係者によると、山上容疑者は容疑を認め、「特定の宗教団体に恨みがあり、安倍氏が団体とつながりがあると思い込んで襲った。安倍氏の政治信条に恨みはなかった」と供述していることが判明した。県警は動機の解明を急ぐとともに、容疑を殺人に切り替えて奈良西署に捜査本部を設置した。
演説に臨む安倍晋三元首相の後方で周辺をうかがう山上徹也容疑者とみられる人物(右から2人目)=奈良市で2022年7月8日午前、大谷敏治さんの提供動画から 街頭演説中に銃撃された安倍晋三元首相(67)が亡くなった。安倍元首相の周囲では複数のSP(セキュリティーポリス)らが警護していたが、防ぐことはできなかった。警察の警備態勢に問題はなかったのか。 「なぜ制止しなかったのか」 「安倍さんの背後にも警察官が配置されていたのに、なぜ制止しなかったのか」。安倍元首相と並んで立っていた奈良県議の一人はこう憤る。 現場にいた記者らによると、山上徹也容疑者(41)=殺人未遂容疑で逮捕=は車道を横切って背後から安倍元首相に接近。数メートルほどの距離で銃を構えて発砲した。さらに数秒後、2発目を撃ったとされる。 今回の警備では、奈良県警の警察官と警視庁のSPが対応に当たった。しかし…
山上徹也容疑者宅のあるマンションに爆発物などを警戒しながら家宅捜索に向かう捜査関係者ら=奈良市で2022年7月8日午後5時11分、滝川大貴撮影 街頭演説中に銃撃された安倍晋三元首相(67)が亡くなった。安倍元首相を銃撃したとして逮捕された山上徹也容疑者(41)は、筒状のものをテープで巻いたような手製の銃を使用したとみられる。どのように銃を入手したかは不明だが、過去にも手製の銃が使用される事件は起きている。 3Dプリンターで容易に製造 大阪府枚方市で2002年3月、犬の散歩中だった男性を撃って3週間のけがをさせたとして、当時61歳の無職の男性が殺人未遂容疑で逮捕された。金属製の水道管を使った手製の銃で撃ったとされる。04年4月には、北九州市の路上で、箱型の自作の発射装置(縦21センチ、横17センチ、厚さ9・5センチ)を使って元同僚の頭を撃つなどしたとして、殺人未遂容疑で当時61歳の元運転手が
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