京セラ創業者の稲盛和夫氏はKDDIの前身となる第二電電(DDI)を立ち上げ、日本電信電話公社(現NTT)が独占してきた日本の通信市場に競争を生んだ。DDIの旗揚げに参画したKDDI元社長の小野寺正氏は「自分で手をあげた以上、絶対やり遂げるという強い信念を持っていた」と稲盛氏の姿を思い返す。――稲盛氏の訃報をどのように知りましたか。「自宅の固定電話が鳴った。ちょっと早いなと思った。当然想定はし
新型コロナウイルスの感染「第7波」で、遠隔診療サービス各社が手がける「オンライン診療」の利用が増えている。感染リスクから対面での診療を避けたいとの需要をとらえ、メドレーやLINE系は8月の利用件数が単月で最高だった。低迷していたオンライン診療の普及に期待がかかるが、対面診療に比べて初診料が低いといった理由で対応する医療機関がまだ少なく、課題はなお多い。「発熱したのですが、コロナでしょうか」。全
日銀は2日、中央銀行の資金供給量を示すマネタリーベースが8月末時点で前年同月比2.5%減の644兆9826億円だったと発表した。2013年4月から続く異次元緩和下で初めて前年同月を割り込んだ。新型コロナウイルス対策で導入した資金繰り支援が縮小したためだ。異次元緩和の象徴だったマネタリーベースの縮小は、日本経済の成長に資する金融政策の在り方を改めて考えるべき時期に差し掛かっていることを示している。
(新潮社・5390円) 虚構を大きく超える日記と手紙の物語 女は一四歳から日記をつけはじめ、一時中断したが二二歳から再開、九一歳で亡くなるまで書き続けた。女とつきあった男は軍人で、これは手紙を山ほど送り続けた。日記と手紙で二人の生涯を再現したのが小説家になった息子、すなわちクリストファー・イシャウッドである。 女の名はキャスリーン(メイチェル=スミス)、男はフランク・イシャウッド(以下、KとFと表記することあり)。キャスリーンは富裕な醸造家の一人娘、フランクは貴族の次男で、受け継ぐ財産は少なく、貧乏な職業軍人。二人が出会ったのは一八九六年二月二六日で、「ヨーク・ランカスター連隊のイシャウッド氏がきて、夕食を一緒にし、後で歌を歌ってくれた。彼のことがとても好き」とKは日記に書いた。
(文藝春秋・2860円) 謎を残す二足歩行と人間の一生 初期人類の研究は、たった一つの化石の発見が大きな展開をもたらすので、発見者はそれをもとに自説にこだわり、化石の公開を拒むことさえある。本書にもそのような例がいくつか紹介されている。著者は化石の発掘・調査にも参加しながら、最初期の類人猿や初期人類の移動方法と彼らの足の研究をする古人類学者である。そこで、研究の全体像を捉えようと、関心を持った化石のある研究室をくまなく訪ねて直立二足歩行に関する考えを聞いた。客観的な調査報告と専門家としての考察には新しい知見があり、人類史を知る読み物として興味深い。 人類誕生の地とされるアフリカ大陸では千五百万~一千万年前に乾燥が進み、広大な森林地帯から小さな森の点在するサバンナへの移行下で二足歩行が起きたと考えられている。DNA解析の結果も含め、チンパンジーとの共通祖先から分かれてヒト(ホミニン)という種
(中公新書・1012円) 近代までたどり先入観を一掃 平氏(へいし)は有名だ。でも誤解されている。「驕(おご)る平家は久しからず」と言われるが、そもそも平氏は滅びたのか。本書は、平氏の全体像を示し、平氏への先入観や間違った理解を正す。 平氏の生き延びを痛感したことがある。大学院生の頃、京都の古書店を回ると、店先でお公家さんが和歌をしたためた自筆短冊が売られていて驚いた。江戸後期のものが多かったが、「(交野)時萬」とか「(平松)時量」とか「時」の字の付いた署名が結構あった。時が付く名前は北条時政・義時など平氏に多い。調べてみると、やはりそうだった。幕末まで平氏の子孫の公家が何家もあって貴族として生き延びていた。 また、幕末の孝明天皇のフンドシを毎日取り換え、布地を貰(もら)っていた駿河という女官の子孫を探してみたことがある。桂宮家の諸大夫(重臣)・生島成房の娘(『幕末の宮廷』)とあり、苦労し
認知症患者の6~7割を占めるアルツハイマー病に関し、病気の原因に関する先駆けとなった研究で不正が指摘されている。米科学誌「サイエンス」に7月、米ミネソタ大の神経科学者らが発表した論文に、改ざんの疑いがあるとの記事が掲載された。 脳内では、異常なたんぱく質「アミロイドベータ(Aβ)」が神経細胞の周辺に複数集まって「オリゴマー」(神経への毒性が高いたんぱく質)になると、細胞が傷付けられて死に、その影響でアルツハイマー病が発症すると考えられている。 疑惑が指摘された論文は2006年、英科学誌「ネイチャー」に発表された。当時、「アルツハイマー病の研究で、記憶障害を引き起こすオリゴマーを初めて見つけた」として評価された。
明治の元勲、山県有朋が83歳で病没したのは1922(大正11)年2月。時に37歳の雑誌「東洋経済新報」記者、石橋湛山(後の首相)は「死もまた社会奉仕」とコラムに書いた。長州閥で陸軍と官界を支配し、政党と民主主義をとことん嫌い、首相指名権さえ握った絶対権力者の死は、「山公」の糸に引かれていた「操り人形」を解き放ち、政治を新陳代謝させる意義があるというのである。だから死んだ翌日、政友会が陸軍縮小案を議会に提出し、早くも人形が踊り出したではないかと説く。 山県の国葬予算に議員2人が反対したのも変化の表れだった。湛山は「山県が政治的罪人だから」との理由には反対する。だが、親の葬式さえ出せない貧民が多いのに、彼らも納めた間接税で山県の葬式を行うのかという批判には賛成する。反対演説中、衆院議長は「他人の身上を論議するな」と制した。湛山は問う。国葬にすることがすでに山県への評価である以上、議長の整理は自
【ヤクルト-中日】三回裏ヤクルト1死一、三塁、村上が今季50号となる右越え3点本塁打を放つ=西夏生撮影 プロ野球・ヤクルトの村上宗隆内野手(22)が2日、中日戦(神宮)の三回に今季50号となる3点本塁打を放った。シーズン50本塁打到達は2013年にプロ野球記録の60本塁打をマークしたバレンティン(ヤクルト)以来で、プロ野球史上10人目。日本選手では02年の松井秀喜(巨人)以来の快挙となった。22歳での到達は、1964年に55本塁打を放った王貞治(巨人)の24歳を抜き、最年少記録を更新した。 熊本・九州学院高からドラフト1位で18年に入団。2年目に36本塁打、96打点で新人王を獲得。3年目には最高出塁率のタイトルに輝き、昨季は39本塁打で巨人・岡本和真と並び本塁打王に輝いた。
旧統一教会などとの関係を巡り、自民党が所属議員に調査報告を求めた通知=自民党本部で2022年9月2日、高本耕太撮影 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)や関連団体との関係を巡り、自民党が党所属議員に求めた調査報告は2日、回答期限を迎えた。党執行部は結果を集計し、公表する予定だが、多くの議員事務所から「正直に報告した者が罰を受けかねない」との不満が噴出。自己申告の調査で全容解明につながるか疑問符が付いている。 自民党は当初、6日にも調査報告の集計結果を公表する予定だったが「あいまいな記述が多く、確認作業が発生している。報告の再提出を求めている議員もいる」(幹部)ため、延期すると明らかにした。来週中の公表を目指す。 党は8月26日、党所属の全国会議員に対し、旧統一教会や関連団体との関係の点検結果を報告するよう茂木敏充幹事長名で通知を出した。具体的には、会合への祝電・メッセージの送付▽広報誌などへ
国際原子力機関(IAEA)の視察団は1日、ロシア軍の制圧下にあるウクライナ南部のザポロジエ原発に到着し、調査を開始した。視察団を率いたIAEAのグロッシ事務局長は数時間の視察後、ツイッターに投稿した動画で「見たかった重要部分を視察できた」と述べ、調査を継続すると強調した。 ウクライナ国営原子力企業エネルゴアトムによると、視察団14人のうち5人は3日まで滞在し、調査を続ける予定だという。ロイター通信によると、在ウィーン国際機関ロシア代表部の大使は2日、視察終了後に専門家2人が同原発に常駐すると明らかにした。だが英国防省の2日の発表によると、同原発のある南部では依然として戦闘が続いており、安全な環境で調査を続けられるかどうかは不透明だ。 ロイターやAP通信などによると、調査はロシア側の案内で実施された。ヘルメット姿の視察団が敷地内を回り、戦闘で損傷したとされる水道管などを視察したという。グロッ
新型コロナウイルスのオミクロン株に対応したワクチンの追加接種が、早ければ今月中旬から始まる見通しになった。今後自治体にワクチンを配送したうえで、4回目の対象となっている高齢者や医療従事者から開始し、その後2回目までの接種を終えた全ての人(12歳以上)に対象を拡大する方針だ。 厚生労働省の予防接種・ワクチン分科会が2日、接種計画の概要を了承した。加藤勝信厚労相は記者会見で「オミクロン株対応ワクチンは従来ワクチンに比べて重症化予防効果や、短期間の可能性があるものの感染予防効果や発症予防効果が期待される。今後の変異株に対しても、有効である可能性が高いと期待される」と述べた。 米ファイザーと米モデルナは、従来株とオミクロン株の「BA・1」由来の成分を含む「2価ワクチン」を開発し、それぞれ厚労省に承認申請している。今月半ばの厚労省の専門部会を経て承認され次第、接種を開始する。当初予定していた10月半
情報公開請求で開示された人工衛星画像の購入実績に関する文書。購入申請した都道府県警や使用目的は黒塗りだった=2022年8月25日午後7時18分、遠藤浩二撮影 人工衛星を利用した警察の「宇宙からの目」による捜査実績が毎日新聞の情報公開請求で明らかになった。警察内部でも捜査手法は広く知られておらず、実態はベールに包まれている。販売事業者によると、商業衛星の中には高い解像度の衛星もあり、個人のプライバシー侵害と捜査の必要性のバランスが求められる。 鳥取連続不審死事件で活用か 情報公開請求で開示された運用要領からは、警察が衛星画像の保秘を徹底していることがうかがえる。商業衛星の画像を管理する部屋には、原則として業務を行う職員以外の入室を禁じている。また、情報収集衛星の画像は警察庁警備局長が「衛星秘密管理者」となり、「従事する職員の人数及び範囲は必要最小限にとどめる」「衛星秘密を他人に伝達するときは
警察庁や国家公安委員会などが入った中央合同庁舎第2号館=東京都千代田区で2022年8月25日午後2時38分、北山夏帆撮影 警察が民間の「商業衛星」(商業目的の人工衛星)から地上を撮影した画像を販売事業者から購入し、犯罪捜査に活用していることが警察庁への情報公開請求で判明した。開示された文書によると、2016~20年度の5年間で購入は計179回、費用は計約1億950万円に上る。地上の防犯カメラをたどる“リレー捜査”は定着しているが、人工衛星を使った捜査の実績が明らかになるのは初めて。捜査で画像をどのように用いたのかは「非公表」とされ、識者からは運用の透明性を求める声が上がる。 警察庁によると、商業衛星の画像利用は01年に始まり、犯罪捜査の他に警備活動や災害対応にも使われている。都道府県警が画像が必要な日時や場所を記載して警察庁に申請し、同庁が該当する人工衛星画像の有無を販売事業者に問い合わせ
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