<do-ki> 東京・新宿から電車で15分の住宅街に広がる井の頭恩賜公園で、先ごろ野生のオオタカが1羽巣立った。春、雑木林に架けられた巣でヒナがかえって以来、多い時は十数人の愛鳥家たちが日々、その成長を見守ってきた。 散歩の途中そっと近づき、一緒に黙って高い木のてっぺんの小さな鳥影を探して、ああ今日もいるとうなずき合うのが、いつしか朝の習慣になった。名前も知らない者同士、一つの命の無事を確かめ合うだけの淡い人の輪は、ほどほどの信頼感が好もしい。 取材したら、皇居や明治神宮など都心の小さな森にも、数年前からオオタカやハヤブサが生息しているという。それどころか里山の減少で「準絶滅危惧種」に指定されているオオタカは、都会にジャングルよろしく林立する超高層ビル群を今や格好の営巣地としているらしい。かつて東京上空の覇権を握っていたカラスが、ゴミ出し対策などによって減った後、入れ替わりに猛禽(もうきん