利用者の使い勝手を重視した要件定義は、Webサイトなど不特定多数を対象にしたシステム作りにおいては、これまでも重要視されてきた。だが、組織として体系立てて取り組むみ出したのは最近のことである。上流工程で実施するために、アジャイル開発と組み合わせる動きもある。 不特定多数の利用者を相手にするWebサイトなどでは、システムの使い勝手、すなわち「UX(ユーザーエクスペリエンス)」に対する意識は以前から高かった。情報システムを利用者が選択できる自由度と利用者の数で分類すると、Webサイトは自由度が高く、利用者数も多いシステムだからだ(図1)。これに対し社内システムは、その対局に位置するシステムだったといえる。 社内もワンクリックが成否を分ける しかし、その社内システムにおいても、使い勝手は無視できなくなっている。雇用形態の多様化で、社内システムの利用者は正社員だけとは限らなくなったし、操作方法の教