先週公開された岡田索雲の短編漫画「アンチマン」が面白かったので、作者の過去作である単行本『ようきなやつら』(双葉社)も読んでみたところ、予想外な面白さがあったので、感想を書いておく。以下、ネタバレ要素があるので、買う予定がある人は買って読んでから見てほしい。 ◆ゴリゴリの左翼マンガ この単行本は、「妖怪読切シリーズ」として書かれた5つの短編──「東京鎌鼬」「忍耐サトリくん」「川血」「猫欠」「峯落」「追燈」──に、書き下ろし漫画「ようきなやつら」を加えてまとめた短編集だ。読み切りなので、各エピソードはある例外(後述)を除いて独立している。語られるテーマも多岐に渡り、単純化することは難しい。 しかし、誰が読んでも共通して持ちそうな疑問が一つだけある。それは、「この単行本はなぜこんなに〝ゴリゴリの左翼〟なのか?」というものだ。 たとえば、「川血」は日本の人種差別、「峯落」はMeToo運動を間接的
