大学院で博士号を取得後、定職を得ずに不安定な身分で研究を続ける「ポストドクター(ポスドク、博士研究員)」。その数は国内で1万5000人以上にのぼるとされ、うち生物学や農学などライフサイエンスを専門とする“バイオポスドク”の割合が4割も占める。1990年代のいわゆる「バイオブーム」に乗って、関連する大学の学部・学科の新設が相次いだが、“出口”や“受け皿”に関しては、未整備の状態が続いている。「末は博士か…」といわれた立身出世物語も今や昔。博士の受難を追った。(信藤敦子) ブームに踊らされる 「バイオブームに踊らされたのが、われわれバイオポスドクです」 大阪大学先端イノベーションセンターの特任研究員、吉岡宏幸さん(32)は農学の博士号を持つバイオポスドクだ。大学、大学院と農学一筋に歩み、カナダへの留学後の平成18年に阪大の研究員に。雇用期間は3年。給料も時給制で、契約時に決められた上限分しか支
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