音楽の永遠性とは何か。普遍性ではない。普遍は世界の側に属しているが、永遠は個人の内側にあるのだから。永遠への希求。それは凍結した時間のようなもので、一種の「死」に近い感覚だ。 そして今年発表された音楽には、そのような永遠性を希求するようなアルバムが、とても多いように思える。刹那の情報の層に世界が覆われていく現在だからこそ、音楽は永遠性=タイムレスな感覚を希求しているのだろうか。たとえば、話題沸騰中のアルカ『ゼン』にも、インダストリアル/テクノのアンディ・ストットの新譜『フェイス・イン・ストレンジャーズ』にも、そして今回紹介するグルーパーの新作『ルインズ』にも、そのような凍結された時間=死のようなものを感じる。 このアルバムにおいてグルーパー=リズ・ハリスは、ピアノと歌による弾き語りを披露している。これまでのようにギター、シンセなどをほとんど用いることなく、4トラック・レコーダー、アップライ