8月6 バニラ今昔 カテゴリ:有機化学エッセイ 暑い日が続いています。こんな日の友といえばアイスクリーム、そしてアイスに欠かせないのはバニラということで、今回はバニラの話を。 バニラは中米原産の植物で、香り成分であるバニリンはその種から得られます。といっても種に含まれるのは香りのない配糖体で、醗酵・乾燥を繰り返して熟成させることで糖が外れ、甘い香りのバニリンが得られてきます。 (バニラの木。画像はWikipediaより) とはいえ天然から得られるバニラは量が少なく、大変に高価です。そこでこれを人工合成する努力は、化学工業の初期から続けられていました。これを実現したのはKarl Ludwig Reimer, Karl Ludwig Reimer, Frederick Tiemannらのチームで、1876年のことです。彼らはグアヤコールとクロロホルムをアルカリで加熱することによって、史上初めて