東京科学医療グループ・大岩ゆり 肺がんの新しい原因遺伝子を、日本人研究者が発見した。細胞ががん化する最初のきっかけを作るたんぱく質に関連する遺伝子だ。肺がんは、がんの中でもっとも死亡者数が多い。この遺伝子の働きを止めれば、がん化を抑えられるかもしれない。新薬の開発も進んでいる。 ◇がん細胞だけ標的 新しい肺がん遺伝子「EML4―ALK」は、62歳の男性肺がん患者の細胞から見つかった。2種類の遺伝子「EML4」と「ALK」が何らかの理由でそれぞれ途中でちぎれ、くっついてできていた。 EMLは細胞の骨格を作るたんぱく質、ALKはたんぱく質の活性化などの役割を担う「リン酸化酵素」の遺伝子だ。 発見者の間野博行・自治医科大教授(東京大特任教授)は2006年、初めてこの遺伝子を見た時、信じられなかった。 ちぎれた二つの遺伝子がくっついた融合遺伝子は、間野さんの本来の専門分野、血液がんではよく知られ