バラック・オバマが、第44代米国大統領に就任した。就任演説を聞いたが、よく練り込まれ考え抜かれた内容であり、しかも人々の心に届く強いメッセージ性をもった歴史に残る名演説だった。200万人にも達する聴衆が、水を打ったように静まりかえり、オバマ新大統領が発する言葉の一言一句を逃すまいと真剣に聞き入る姿には、政治家の言葉の力というものを深く考えさせられた。 私はバラック・オバマという政治家は、米国の神話の再建を託された巫女のような存在ではないかと考えている。「巫女」というと違和感があるかもしれないが、何もオバマが神がかっているといいいたいのではない。「神=共同体の無意識」と読みかえれば、オバマに渇望されているのは、ばらばらになった米国民の魂をもう一度結びあわせ(unite)、新しい国産(くにうみ)神話を紡ぎ出すための語り部(巫女)としての役割だ。 神がかっていたのは、オバマよりむしろブッシュの方