名騎手・岡部幸雄さんの著書を読み返していて、すごく印象に残った部分がありました。 (シンボリ)ルドルフとの出逢いが、どうしてそれほど私の人生に大きな影響を及ぼすことになったのか。ひと言でいうならえ、ルドルフによって「最高」というものを知ったからである。 それ以前にもグリーングラス(昭和53年の天皇賞・春を勝利)などの名馬に乗ることはできていたが、そんな歴史的な名馬とくらべてもルドルフは次元が違った。 デビュー前の調教ではじめてその背にまたがった瞬間から「世の中にはこんな馬もいるのか」というくらいの衝撃を受けたのである。 現役時代の私はよく、二歳のサラブレッドを幼稚園児にたとえていた。二歳や三歳の馬は、子供から大人へと成長していく過程にあり、ちょっと気に入らないことがあれば、泣き喚いたり暴れたりすることも珍しくないものだ。そしてこの時期には、1か月、2か月といったスパンで、違った馬になったか