「このままでは人口が減って社会が維持できなくなる」という台詞をよく聞く。いわゆる「少子化問題」だ。よく言われるのは人口が減れば税や社会保険料を負担する人が減るという理屈だが、それだけではない。企業からしてみれば「消費者」が減るのだ。内需が減るのだ。経済規模は縮小する。 しかし一方で、「将来は人工知能が発達するから人工知能にできてしまう仕事はなくなる」とも言われる。いわゆる「技術的特異点問題」。「よりハイスペックな人間にならなければ生き残れないぞ」と脅す声すらある。数少ない職を奪い合うイス取りゲームが始まるということだ。 矛盾だ。この矛盾にどう対処すべきなのか、私たちは問われているのではないか。 人工知能が発達して人間の仕事を肩代わりしてくれるなら、人口が減っても社会の生産性は維持できる。人工知能は消費者にはなってくれないが、たとえば人工知能によって人間のやるべき仕事が半分になるというのなら