ブックマーク / synodos.jp (131)

  • 移民受け入れと社会的統合のリアリティ――現代日本における移民の階層的地位と社会学的課題/是川夕 - SYNODOS

    われわれの社会がすでに移民受け入れ社会となっているという事実は、最近頻繁に指摘されるようになってきているので、驚く人は少なくなっているかもしれない。しかし同時に、現代の日において、移民の社会的統合が緩やかに進みつつあると言ったならば、多くの人はにわかに信じがたいのではないだろうか。 拙著『移民受け入れと社会的統合のリアリティ』(勁草書房)は、国勢調査のマイクロデータという、現時点でもっとも信頼しうるデータをもとに、ナショナルレベルで見た移民の社会的統合の現状について定量的に分析したおそらく初めての研究であり、上記の結論もその中で見えてきたものである。この結論は筆者である私にとっても、当初信じがたいものでありこの結論に至るまでにずいぶんと逡巡を重ねた。 以下ではそのポイントを紹介したい。なお、書で言及する移民とはデータの制約上、外国籍人口のことを指している。 日はすでに移民受入社会であ

    移民受け入れと社会的統合のリアリティ――現代日本における移民の階層的地位と社会学的課題/是川夕 - SYNODOS
  • 「趣味の歴史修正主義」を憂う/大木毅 - SYNODOS

    拙著『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』(岩波新書)を上梓してから、およそ3 か月になる。幸い、ドイツ史やロシア・ソ連史の専門家、また一般の読書人からも、独ソ戦について知ろうとするとき、まずひもとくべき書であるという過分の評価をいただき、非常に嬉しく思っている。それこそ、まさに『独ソ戦』執筆の目的とし、努力したところであるからだ。 残念ながら、日では、ヨーロッパにおける第二次世界大戦の展開について、30 年、場合によっては半世紀近く前の認識がまかり通ってきた。日のアカデミズムが軍事や戦史を扱わず、学問的なアプローチによる研究が進まなかったこと、また、この間の翻訳出版をめぐる状況の悪化から、外国のしかるべき文献の刊行が困難となったことなどが、こうしたタイムラグにつながったと考えられる。もし拙著が、そのような現状に一石を投じることができたのなら、喜ばしいかぎりである。 しかし、上のような事情から、日

    「趣味の歴史修正主義」を憂う/大木毅 - SYNODOS
  • 原発事故と「食」――市場、コミュニケーション、差別/五十嵐泰正 - SYNODOS

    都市社会学・地域社会学を専門領域とする私は、放射能の「ホットスポット」となった千葉県柏市で、地域の生産者・消費者らによる協働的な放射能測定と情報発信プロジェクトに携わったことを皮切りに、東日大震災以降、おもに地域づくりと農漁業復興の観点から、放射能災害被災地の品をめぐるコミュニケーションに実践的に取り組んできた。そんな自身の経験を踏まえて上梓した『原発事故と「」――市場、コミュニケーション、差別』(中公新書、2018年2月)を、自著紹介したい。 震災後6年以上も経った時期になってこうしたテーマのをあえて書いたのは、twitterなどを舞台に、原発事故後の放射線リスクをめぐる「罵りあい」が一部の人たちの間で延々と続く一方で、大多数の人々は、終わりが見えない論争を横目に被災地への関心を失ってゆく、そういう状況が私にはどうにも不健全に思えたからだ。そしてこの構図は、その後さらに2年近く経

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  • 日本のプラスチックごみの行方を知って、冷静な議論を/小野恭子 - SYNODOS

    このところ、海洋プラスチックごみが海の生物などに与える影響に注目が集まっている。このため、使い捨てプラスチックの代表格とされるレジ袋が全面的に有料化されることになったという。しかし、この因果関係、何かおかしくない?と違和感を持った。 海洋プラスチックごみは、海岸で、または、海中に漂っているうちに摩耗して、マイクロプラスチックになる可能性がある。そのため、海に流出するのを極力防ぐことが重要である。そのため、プラ製レジ袋をもらわず、ペットボトルの飲み物を買わないという行動は一定の意義があると思う。しかし、海洋プラスチック問題解決のため使い捨てプラスチックの使用量を減らす、まずはレジ袋削減から取り組むと言われると、ちょっと待てよ、という気がしたのだ。 ここでは日は海洋プラスチックごみをどのくらい排出しているのか、そして日のプラスチックごみはどのように処理されているかをまとめ、プラスチックリサ

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  • 大災害時の避難所運営をどうするか?/安井清孝 / 福島県立医科大学放射線健康管理学講座 - SYNODOS

    近年、大地震だけでなく、豪雨や台風による災害が頻繁になってきています。もし個人で対処できる範囲を超えるような大災害が発生した場合、どのようにしてサバイバルしたらよいのでしょうか。災害前の準備から発生後1週間程度をどう乗り切るかという視点で考えてみたいと思います。 災害後の避難生活であなたを守るのは、自助・共助・公助ですが、そのうち発災直後、とくに重要なのが自助・共助です。自助・共助を機能させるためには、災害が起こる前から準備しておくことが大切です。 防災準備のポイントは、(1)避難セットの準備、(2)避難所と避難経路、災害備蓄の確認、(3)コミュニティの再評価の3点です。 (1)避難セットの準備 避難セットとして、緊急時に必要になる数日ぶんの飲物と様々な物資の入ったセットが市販されているので、これを機にぜひ確認して下さい。それに加えて、短期の生活資金や携帯電話のバッテリーを入れておくとよ

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  • 関東大震災における朝鮮人虐殺――なぜ流言は広まり、虐殺に繋がっていったのか/加藤直樹×山田昭次×荻上チキ - SYNODOS

    東大震災における朝鮮人虐殺――なぜ流言は広まり、虐殺に繋がっていったのか 加藤直樹×山田昭次×荻上チキ 社会 #荻上チキ Session-22 91年前に起こった関東大震災。そこでは、「朝鮮人が武器を持って暴動を起こしている」、「井戸に毒を入れている」などといった流言が広まり、日人によって多くの朝鮮人が命を奪われる事態になった。では、なぜそのような流言が広がり、朝鮮人の虐殺に繋がっていったのだろうか。ヘイトスピーチが問題となる今、関東大震災について考えることで、私たちは歴史から何を学ぶべきかを追求していく(TBSラジオ 荻上チキSession-22 「加藤直樹×山田昭次『関東大震災』もうひとつの記録」より抄録)。(構成/若林良) ■ 荻上チキ・Session22とは TBSラジオほか各局で平日22時〜生放送の番組。様々な形でのリスナーの皆さんとコラボレーションしながら、ポジティブな提案

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  • 西欧社会民主主義はなぜ衰退しているのか?/吉田徹 - SYNODOS

    ポピュリズム伸長と社民の衰退 西欧各国の社民政党が大きなダメージを受けている。 2017年から2018年は、英EU離脱と米トランプ大統領誕生があったこともあり、西ヨーロッパ各国での選挙が大きな注目を浴びた。オーストリアやイタリアではポピュリスト政党が参画する連立政権が発足したが、フランスといった欧州の中核国ではポピュリスト勢力は政権の座から遠ざけられ、グローバルなポピュリズム・ドミノは押しとどめられたようにもみえる。 もっとも、これまでの各国選挙の推移を注意深くみれば、留意すべきはポピュリズム政党の伸長以上に、各国政治で中心的な役割を占めていた社民政党の決定的な衰退である。 まず、2017年3月のオランダ総選挙では、与党・労働党がわずか9議席(改選前38議席)という、歴史的敗北を喫した。1980年代から90年代にかけ、同党は中道右派政党のキリスト教民主アピールとともに2大政党のひとつだった

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  • トルコの独立戦争から100年――国民の記憶と危機意識/柿﨑正樹 - SYNODOS

    いまから100年前の1919年5月19日、黒海沿岸の町サムスンに、ひとりのオスマン軍人が上陸した。その名はムスタファ・ケマル、のちにトルコ共和国の建国者となる人物である。当時のオスマン帝国は第1次世界大戦に敗れ、西洋列強により分割される危機に直面していた。 しかし帝国各地には祖国を救うべくさまざまな抵抗運動が生まれつつあり、ケマルはこれらを糾合しながら国民闘争をその後展開していくこととなる。そしてケマルに指導されたトルコの人びとは、度重なる戦争ですでに疲労困憊していたにもかかわらず、ここからさらに4年にわたる血みどろの戦いを繰り広げ、なんとか祖国の防衛に成功する。現在のトルコ共和国が成立したのは1923年10月のことであった。新生トルコの指導者はオスマン帝国との決別を誓い、西洋近代社会と国民国家を模範とした。 ケマルのサムスン上陸から一世紀が過ぎた今日のトルコでは、レジェップ・タイイプ・エ

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  • 欧州議会議員選挙とユーチューバー――中高年が仕切る政治にノーをつきつけた若者たち/穂鷹知美 - SYNODOS

    5月の末、ドイツをはじめEU諸国では、5年に1度の欧州議会議員選挙がありました。ヨーロッパや世界全体では、EU懐疑派や極右政党の動向に強い関心が向けられた選挙であったように思いますが、ドイツ国内では、それと同じか、あるいはそれ以上に国内の話題をさらったある出来事(事件?)がありました。 選挙日(国によって若干違いますがドイツでは26日)の約一週間前(5月18日)に、リゾRezoという26歳のユーチューバーが、キリスト教民主同盟(メルケル首相が所属する保守政党。以下では「保守与党」と表記)と連立政党である社会民主党に対する厳しい批判をした55分のビデオをユーチューブで公開し、それが選挙前に800万回以上視聴されたためです(6月5日現在の視聴回数は約1400万回)。 選挙直前にはこのビデオの主旨を簡潔に繰り返す3分のダイジェスト・ビデオも、リゾと約90名のユーチューバーによって作成され、配信さ

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  • “子育て罰”を受ける国、日本のひとり親と貧困/桜井啓太 - SYNODOS

    ◇子どもの貧困は、大人の貧困である。 たいていの場合、子どもだけがひとり貧困になるわけではない。一緒に暮らす大人が贅沢な生活をしているのに、子どもを困窮させているのであれば、それは貧困問題ではなくネグレクトである。子どもの貧困は、子どもの親たちが貧しいからこそ生じている経済的問題である。 第一線の貧困研究者たちは、ずっと「子どもの貧困」における「罪のない子どもが貧困におかれている」という台詞の裏側に見え隠れする「大人の貧困は自己責任(罪)である」という価値に対して危惧を表明し続けてきた(注1)。 (注1)松伊智朗編(2017)『「子どもの貧困」を問いなおす:家族ジェンダーの視点から』法律文化社。編者の松は、「子どもの貧困」が貧困問題一般から切り離され、「家族責任」や「学習支援」に矮小化されることに明確な反対を示している。 どんな個人も、貧困のままに放置されるほどの罪などない。子どもであ

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  • なぜ、いま炭鉱なのか――「負の遺産」を超えて/嶋﨑尚子×熊谷博子 映画『作兵衛さんと日本を掘る』公開記念対談 - SYNODOS

    なぜ、いま炭鉱なのか――「負の遺産」を超えて 嶋﨑尚子×熊谷博子 映画『作兵衛さんと日を掘る』公開記念対談 文化 #作兵衛さんと日を掘る 2011年5月、炭坑画家・山作兵衛の遺した絵や日記など697点が、日国内では初めてユネスコ世界記憶遺産に認定されたことは記憶に新しい。自身炭坑夫だった彼が生涯に描いた絵は実に2000枚にのぼるといわれている。 山作兵衛の仕事は、いったい今に何を訴えかけようとしているのか。5月25日より上映が始まるドキュメンタリー映画『作兵衛さんと日を掘る』の公開を記念して、『炭鉱と「日の奇跡」』(青弓社)の共編著者である社会学者の嶋﨑尚子氏を迎え、作監督の熊谷博子氏と存分に語り合ってもらった。(取材・文 / 萩野亮) 山作兵衛氏 熊谷 『炭鉱と「日の奇跡」』を拝読しました。一般的には終わったと思われている炭鉱ですが、奥深い、今につながる新しい視点を感

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  • 象牙密猟は生息地でどう受けとめられているか?――二重に苦しめられるタンザニアの地域住民/岩井雪乃 - SYNODOS

    象牙密猟は生息地でどう受けとめられているか?――二重に苦しめられるタンザニアの地域住民 岩井雪乃 環境社会学 国際 #等身大のアフリカ/最前線のアフリカ#象牙密猟#アフリカゾウ シリーズ「等身大のアフリカ/最前線のアフリカ」では、マスメディアが伝えてこなかったアフリカ、とくに等身大の日常生活や最前線の現地情報を気鋭の研究者、 熟練のフィールドワーカーがお伝えします。今月は「等身大のアフリカ」(協力:NPO法人アフリック・アフリカ)です。 象牙は、装飾品や印章として、古今東西を問わず人類を魅了してきた素材である。残念ながら現代でもそれは続いており、一時期は沈静化していた象牙目的の密猟が、近年、再び増加している。しかし、その一方で、アフリカゾウの生息地では、これまでの保護政策によってゾウと住民の共存が困難になっている地域も多い。ゾウが害獣化して農作物を荒らし、ときには人を襲っているのだ。 ゾウ

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  • 居合は「スポーツ」なのか?――全剣連居合道部の金銭授受問題をめぐって/田邊元 - SYNODOS

    居合は「スポーツ」なのか?――全剣連居合道部の金銭授受問題をめぐって 田邊元 スポーツ人類学/民俗学/武術研究 文化 #居合#金銭授受 8月17日付の産経新聞において、全日剣道連盟(以下「全剣連」と略す)の居合道部で、昇段や称号の審査において金銭授受が行われていたことが報道された(1)。簡単に今回の件を説明する。全剣連居合道部は最高段位を八段としているが、さらにその中には階級化された称号(「範士」、「教士」、「錬士」)が設定されている。この称号を得るには厳正な審査を通過する必要があるが、今回の報道で、その審査の過程で受験者から審査員に私的な金銭の授受が「慣習」的に行われていたことが明るみに出たのである。渡された金額も総額650万円になるということで、かなりの金額だ。 (1)産経ニュース内「居合道昇段で金銭授受 八段審査で数百万円、接待も 内閣府が調査」2018年8月17日付 https:

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  • 終の住処としての外国――スイスの老人ホームにおける 「地中海クラブ」の試み/穂鷹知美 - SYNODOS

    今日、様々な事情で住み慣れた国を離れ、外国に住んでいる人が、世界中に大勢います。その人たちは、若い頃は、海外暮らしにほとんど支障も葛藤もないかもしれませんが、高齢になってくると、心境や状況はどう変わっていくのでしょう。今回は、外国生活が長い人の間でも、話題にされることが少なく、対応の検討が先送りにされがちな、外国での老後というテーマについて、スイスの老人ホームを例に、少し具体的に考えてみたいと思います。 スイスの公立老人ホームは、全般にアメニティーが高く、居住者は一見不自由のない生活をしているように見えます。例えば人口10万人強のヴィンタートゥアWinterthur市にある市営老人ホームは、交通の便の良い市内の五ヶ所にバランスよく点在しており、ホームの敷地内には、一般のひとも利用できる庭やレストランのほか、美容室や保育園(現在建設中)なども併設されています。居住者は自活能力に合わせてサービ

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  • 情報技術と規律権力の交差点――中国の「社会信用システム」を紐解く/堀内進之介 - SYNODOS

    情報通信や情報処理に関わる技術の高度化によって、データとアルゴリズムは、グローバルなコミュニケーションのみならず、商取引や投票行動、医療、法執行、テロ対策などを含む、あらゆる人間活動と意志決定に多大な影響を及ぼし始めている。こうした変化は、しばしば「ビッグデータ革命」と呼ばれる。 政府機関は、先端技術の導入では民間企業に後れを取ることが多いが、近年では、民間企業が業種ごとに保有している行動履歴や購買履歴、通信履歴、閲覧履歴などのデータと、公的機関が保有するデータを抱き合わせることで、重要な決定を下そうという動きが活発になってきている。 たとえば、アメリカでは、犯罪予測、あるいは予測的ポリシングと呼ばれる分野で、そして、司法の現場で、データとアルゴリズムが活発に利用され始めている。 しかしながら、中国政府ほど、データとアルゴリズムの利用に野心的な政府は他にない。というのも、中国政府が2014

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  • 就職氷河期世代にとって消費増税は天敵――あるべき経済政策はなにか/金子洋一 - SYNODOS

    わが国の政府当局の判断ミスで、失われた20年の不況は生じ、就職氷河期世代が生まれてしまいました。政策のミスで生まれたものならば、国の政策で手当ができるはずです。消費増税は傷を広げる愚策です。増税をやめ、低賃金、劣悪な労働条件などで悩む就職氷河期世代を救うこともまた政治の決断で行わなければなりません。 安倍政権が今年2019年10月の10%への消費税増税を決定したとの報道がなされています。大きな決定ですがそれが正しいとは思えません。とくに、過去の政策判断のミスの最大の被害者である就職氷河期世代、ロスジェネ世代のことを考えれば消費増税は止めるべきです。 2013年春、政権が自公政権に移った直後、横浜市で開かれたある会合で菅直人元総理と一緒になりました。菅さんは「君の言う通りの政策を自民党がとったね。この円安株高は続くかね?」と私にたずねました。「はい」と応えて、私は続けました。「これを菅総理の

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  • 「戦争と武力紛争の兵器」としての性暴力――ナディア・ムラド氏自伝『THE LAST GIRL』 / 末近浩太 / 中東地域研究 | SYNODOS -シノドス-

    戦争と武力紛争の兵器」としての性暴力――ナディア・ムラド氏自伝『THE LAST GIRL』 末近浩太 中東地域研究 / イスラーム政治思想・運動研究 国際 今年度のノーベル平和賞を受賞したナディア・ムラド氏の自伝、『THE LAST GIRL:イスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語』(ジェナ・クラジェスキとの共著、吉井智津訳、東洋館出版社、2018年)が刊行された。イラク出身のムラド氏は、2014年8月、故郷のコーチョ村で過激派組織「イラクとシリアのイスラーム国(ISIS)」の戦闘員たちに捕えられ「奴隷」にされた。 ISISの戦闘員たちは、ムラド氏らヤズィディ教徒(後述)にイスラームへの改宗を強要した。それを拒否した男性や老人は虐殺され、若い女性たちは「奴隷」として売買された。改宗を拒んだ彼女は、その「奴隷」の1人として、ISISの実効支配地域のなかでわずかな金銭で繰り返し取引され、

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  • この保守政権は「日本の家族」を守るのか? / 松木洋人 / 家族社会学 | SYNODOS -シノドス- | ページ 2

    6年ぶりの投票が行われた自民党総裁選は大きな波乱もなく、現職の安倍晋三総裁が3選を果たすという結果になった。今後の国政選挙で自民党が敗北するといった事態が起きない限り、これからまた3年の間、安倍政権が続くことが想定される。 言うまでもなく、自民党は保守政党であることを標榜しており、安倍も自らが保守の立場に立つ政治家であることを公言してきたわけだが、この保守政権を構成する政治家やその支持者たちが守る必要性を主張してきたものの1つが家族である。 「家族を守る」という言葉は、多くの人にとって、耳ざわりのよい響きをもつものだろう。統計数理研究所が1953年から5年ごとに実施している「日人の国民性調査」には、「あなたにとって一番大切と思うもの」を1つだけ挙げるという設問があるが、これに「家族」と回答する者は1983年には31%と、「生命・健康・自分」(22%)、「愛情・精神」(19%)などを抑えて

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  • 国家のあり方を読み解く「未承認国家」という鍵/『未承認国家と覇権なき世界』著者・廣瀬陽子氏インタビュー - SYNODOS

    ウクライナ危機やロシアによるクリミアの編入問題など、「国」をめぐる問題で揺れ動く世界。これは、竹島や尖閣諸島の問題を抱える私たち日人にとっても、決して遠い問題ではない。不安定化した世界を読み解く上で、大きなカギとなるのが「未承認国家」という存在だ。この未承認国家の存在から国際問題の原点を探ろうとしたのが、今年8月に出版された『未承認国家と覇権なき世界』だ。著者・廣瀬陽子氏に、未承認国家の概要と、そこから見えてくる今後の課題点についてのお話を伺った。(聞き手・構成/若林良) ―― 「未承認国家」は日人にとってはあまり聞き慣れない言葉ですが、「国家」と「未承認国家」の違いとは何なのでしょう。 ごく簡単に言ってしまいますと、他の国からの広い国家承認を受けているか、否かですね。例えば台湾は後者で、60年以上も台湾島を初めとした領土を維持しておりますが、国際的な影響力が強い中国台湾の独立を認め

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  • ボツワナの中国人商人たち――チャイナショップが生み出す消費社会 / シ ゲンギン(Yanyin ZI)/ 文化人類学 | SYNODOS -シノドス-

    何世紀にもわたってアフリカは、貧困や紛争のようなネガティブなイメージとともに語られてきた。しかし、近年の中国によるアフリカ進出によって、アフリカには新たな活力が注がれている。日アメリカの企業家たちがアフリカの市場に目を向けるようになったことの一因は、中国アフリカ進出があったからであろう。 こうした状況下で、中国アフリカ関係を対象とした研究は、マクロな視点から、中国アフリカ援助や貿易関係に焦点を当てるものが主流となった。しかし、アフリカの人々は援助や貿易関係よりも、むしろ日常的な中国人商人とのやりとりや中国製商品そのものを通して中国の存在を実感している。つまり、中国アフリカの関係において、国家や企業規模ではない個人間の関係、いわば草の根レベルの繋がりが重要な役割を担っていると考えられる。 稿では、中国人商人の生活体験談や、ボツワナで販売している中国製商品を共時的・通時的に分析し

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