父親との楽しい遠出。そう信じていた特別な一日が、少女、ジニにとっては別の意味で特別な日になってしまう。楽しい時間を過ごした後、気づくと、彼女は父親とある建物の門前に立っていた。そしてすぐ戻ると言った彼女を置いたまま、父親が戻ることはなかった…。 父親が迎えにくることを信じて殻に閉じこもり、他の子たちと交わることを頑なに拒否するジニだったが、一人の少女と友情が芽生えたのを境に、変わり始める。だがその矢先にその少女が養子縁組で孤児院を出ると、ジニはまた一人になる。そしてジニもまた新しい家族と共に孤児院から旅立ちの日を迎える…。 これは韓国生まれ、フランス育ちのウニー・ルコントの自伝的背景を含んだ処女長編である。孤児院からフランス人の里親に引き取られ、以降フランスで教育を受け、育ってきた彼女自身の体験をベースにしている。言葉少ない少女の目から浮かびあがる感情。喜び、悲しみ、喪失感、怒り、諦めなど