「こぶし腰浮かせ」と「傘かしげ」の捏造 公共広告機構(現・ACジャパン)のマナー啓発広告に取り上げられたこともある「江戸しぐさ」は、2014年度から小学校の道徳教材「私たちの道徳」に取り入れられました。文部科学省認定の教材にも出てくる江戸しぐさとは、どんなものなのでしょう。 江戸しぐさの淵源は、1980年代に芝三光(しばみつあきら)という人物が考えついた江戸っ子の言動や行動パターンです。芝の晩年に弟子入りしたノンフィクション作家・越川禮子氏は、江戸しぐさを整理してマニュアル化しました。 江戸しぐさとして語られる代表的なものは、「傘かしげ」(人とすれ違うときに傘を傾け、雨や雪がかからないようにする)や「こぶし腰浮かせ」(人のために長イスを空け、席を譲る)です。 和傘と洋傘の構造の違いを知っていれば、「傘かしげ」のおかしさにすぐ気づきます。和傘にはスプリングがついていませんから、洋傘のように一