写真家・奈良原一高の初めてとなる写真集。1956年に「人間の土地」で華々しくデビューした彼だが、こちらは写真集として発表されたのは1987年になってから。代わりに1962年から3年間滞在したヨーロッパで制作された作品をまとめた本書が、実質的な処女作品集となっている。当時ウルム造形大学に在籍していた杉浦康平との長きにわたる遠距離編集作業の末に、3万枚をこえるネガの中から選び出されたんだそう。ちなみにこの本は糸で綴じない無線綴じで製本されており、出来るだけフラットに開くことを目的にしているだろうと思われるが、当時の糊がまだ発展段階だったため、現存する多くのこの写真集は糊の劣化によりページの外れていることが多いが、こちらは良好。 ブックデザイン:杉浦康平 協力:勝井三雄 本文組版・製版・印刷・製本:凸版印刷 製函:文京紙器 製作:SD編集部 担当・平良敬一 出版社 publisher:鹿島研究所