Steve Jobs氏が米Apple社で生み出した製品を振り返ってみると、1980年代の「Macintosh」、1997年に復帰した後にはカラフルな筐体で人気を呼んだ「iMac」や携帯型音楽プレーヤー「iPod」、スマートフォンの「iPhone」、タブレット端末「iPad」などが挙げられる。これらはすべて個人に向けた製品であり、革新的な製品だったといえる。 私は、ソニーなど家電メーカーで長く製品開発に携わってきた経験から、新たな価値を持った製品は大きく2種類に分類できると考えている。「従来の製品や、その利用シーンを置き換えるもの」と、「従来の製品と並存するもの」だ。Jobs氏は、主に前者の製品を開発することで市場を切り開いてきた。 例えば、Macintoshは、プログラミングに長けた利用者だけが使うことを許されたコンピュータを、GUIの活用で一般消費者が簡単に操作できるようにした。これが、