最近、日本のメーカーがつくっている次世代テレビを見る機会をいただいたのですが、実は目まいを感じてしまったのです。あらゆるピクセルが、現実を越えるリアリティで完璧に表現し尽くしていて。でも、想像でもって補って楽しむ、といいますか、俳句の行間文化みたいな喜びが全くなかった。実際、このテレビと俳句とどちらがリアルか、といったときに、驚くほどの高解像度よりも、集約し、抽象化したもののほうが、自分で解釈する喜びがあると思ったんです。若山牧水の短歌「白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ」が大好きなんですが、映像で見るより、僕はこのほうがいい。