(2013年4月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 高所得国がデフレに陥っていないのはなぜなのか――。これこそが今日の謎にほかならない。ハイパーインフレになるという、一部のヒステリックな人たちの誤った予想通りになっていないことが謎なのではない。 国内総生産(GDP)が金融危機以前のトレンドに比べて大幅に落ち込んでいるにもかかわらず、そして高失業が長引いているにもかかわらず、インフレがこれほど安定しているのは実に不思議なことだ。なぜこうなるのかを理解することは非常に重要だ。なぜなら、その答え次第でどんな政策対応が正しいかが決まるからだ。 幸いなことに、これについてはうれしい答えが示されている。どうやらインフレが安定しているのは、インフレターゲット政策が信頼されていることのご褒美であるようなのだ。 そしてそのおかげで政策当局は、危険を冒して拡張的な経済政策を取る余地を手にできているという